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焦点:日銀、次回会合で金融政策は維持の公算 対策効果見極め

ロイター / 2020年6月10日 19時39分

6月10日、日銀は15―16日の金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を決める公算が大きい。日銀前で5月撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

和田崇彦

[東京 10日 ロイター] - 日銀は15―16日の金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を決める公算が大きい。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の停滞を受け、3月以降、矢継ぎ早に対策を打ち出してきた。金融市場が落ち着き、企業金融支援の枠組みも確立したことから、6月の会合では一連の対策の効果を見極めるとみられる。

<2次補正に伴う資金供給拡大、追加緩和にあたらず>

日銀は、企業金融の円滑化と市場の安定確保の観点から対策を打ち出してきた。1)企業金融支援の特別プログラム、2)積極的な国債購入とドル供給、3)上場投資信託(ETF)や上場不動産投信(REIT)の積極購入、の3本柱に集約される。

足元では、3月にボラティリティーが急拡大したマーケットも落ち着きを取り戻し、為替相場も安定している。企業金融面では、政府の補正予算に歩調を合わせて5月に決めた新たな資金供給手段で日銀内では、当面必要な対策は出そろったとの声が出ている。新たな不安要素が急浮上しない限り、今回の決定会合で「第4の柱」が講じられる可能性は低いとみられる。

企業金融支援の特別プログラムの一環に位置づけられた新たな資金供給手段は6月24日にスタート予定。15日からの決定会合までに第2次補正予算案が国会で成立していれば、補正で盛り込まれた民間金融機関による無利子・無担保融資の総枠を追加して、現行30兆円の供給予定を倍増させる可能性もある。

その場合、特別プログラム全体の規模は75兆円から100兆円超に膨らむことになるが、関係筋によると、新しい資金供給手段を通じた資金供給の規模は政策決定会合での決定事項ではなく、上限でもなく、供給予定額が倍増しても金融緩和には当たらない。日銀は、金融機関の利用がどの程度進むか見極める方針だ。

5月下旬に緊急事態宣言が全国で解除されて経済活動が徐々に再開していることで、日銀内には、6月以降、景気は緩やかに持ち直すとの見方が目立つ。次回会合では年後半に景気が回復するシナリオを維持する見通しだが、景気への下方リスクは内外に山積みとなっている。

<危機対応モード継続>

当面は新型コロナの感染状況に経済動向も振らされる展開が見込まれる。日銀も危機対応モードを継続する。新型コロナの第2波、第3波への警戒感がくすぶる中で、需要回復を支援する追加緩和は打ち出しづらい状況だ。コロナの影響が長引けば、大企業を含めて企業の資本が毀損するリスクが現実味を増す。企業への資本性資金の供給は2次補正予算案に盛り込まれたが、日銀内でも警戒感が強まっている。

金融市場では、日米の主要株価指数が堅調な戻り歩調となる一方、債券市場ではイールドカーブのスティープニングの傾向が強まっている。日銀内では、金利上昇が株安を誘発することへの警戒感も出ている。現在、政策対応の重心を市場の安定確保に置いていることもあり、日銀は決定会合にかけて市場動向を一段と注視するとみられる。

*本文中の表記を一部正して再送します。

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