中国8月CPI再び上向く、PPIは下落幅縮小 デフレ圧力緩和
ロイター / 2023年9月11日 8時34分
中国国家統計局が9日発表した8月の物価統計は、消費者物価指数(CPI)が上昇に転じ、生産者物価指数(PPI)は下落ペースが鈍化した。経済に安定化の兆しが見える中、デフレ圧力が緩和した。写真は北京の市場で8月撮影(2023年 ロイター/Tingshu Wang)
Kevin Yao Joe Cash
[北京 9日 ロイター] - 中国国家統計局が9日発表した8月の物価統計は、消費者物価指数(CPI)が上昇に転じ、生産者物価指数(PPI)は下落ペースが鈍化した。経済に安定化の兆しが見える中、デフレ圧力が緩和した。
CPIは前年比0.1%上昇。ロイターがまとめた市場予想の中央値(0.2%上昇)は下回った。7月は0.3%下落し、2021年2月以来のマイナスとなっていた。
食品とエネルギー価格を除いたコアCPIは0.8%上昇と、前月と変わらなかった。
PPIは前年比3.0%下落と過去5カ月で最も小幅な下落率だった。市場予想と一致した。7月は4.4%の下落だった。
国泰君安国際のチーフエコノミスト、周浩氏は「インフレ指標に若干の改善が見られる。PPIは下落幅が縮小し、緩やかな回復プロセスを示している」と指摘。
その上で「全般的には依然として需要の弱さが示されており、当面は追加の政策支援が必要だ」と語った。
今月発表された8月の貿易統計も、輸出と輸入の減少ペースが鈍化。政策当局者が需要を促進しデフレ回避を目指す中、一連の指標で景気安定化の兆しが示されている。
CPIの内訳で食品価格は1.7%下落し、食品以外の品目が観光関連のコスト高を反映して0.5%上昇した。
中国北部の穀物生産が盛んな地域はこの夏の洪水でトウモロコシやコメなどの作物が被害を受けており、国内で物価上昇懸念が台頭している。
CPIは前月比で0.3%上昇と、7月の0.2%上昇から加速。とりわけ、豚肉価格は一部地域の異常気象の影響で前月比11.4%急騰。前年比は17.9%下落と、下落率が7月の26%から縮小した。
華金証券のエコノミスト、羅雲峰氏は「CPIとPPIは第4・四半期に緩やな改善を示す可能性が高い」と指摘した。
8月のPPIは一部の工業製品の需要改善や国際原油価格の上昇を受けて下落率が縮小した。
ANZのアナリストはリサーチノートで「成長安定化の初期の兆候が見られ、デフレ圧力が緩和しつつある。この傾向が8月のコモディティー(商品)価格上昇にも反映された」と述べた。
中国当局はここ数カ月、住宅ローン金利の引き下げなど一連の景気支援政策を打ち出している。
しかしアナリストは、労働市場の回復が鈍化し家計所得の見通しも不透明で、消費者心理を改善させるにはさらなる政策措置が必要と指摘する。
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