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アングル:厳しさ増す来年のアジア企業業績見通し、中国経済失速や金利上昇で

ロイター / 2023年11月10日 15時15分

 11月9日、アジア企業は2024年に利益の堅調な伸びが予想されていたが、このところ見通しが一転して厳しさを増している。写真は10月3日、香港で道路に立って店に客を呼び込もうとするスタッフ(2023年 ロイター/Tyrone Siu)

Gaurav Dogra Patturaja Murugaboopathy

[9日 ロイター] - アジア企業は2024年に利益の堅調な伸びが予想されていたが、このところ見通しが一転して厳しさを増している。中国経済の失速、期待外れの第3・四半期決算、金利上昇などを背景に、アナリストがアジア企業の向こう1年間の利益予想を相次いで引き下げているためだ。

LSEGのIBESデータによると、アナリストは10月にアジア企業の1年後の利益予想を0.3%下方修正し、3カ月連続の引き下げとなった。

ソシエテ・ジェネラルのアジア株式ストラテジスト、ラジャット・アガルワル氏は「中国の成長回復の鈍さが業績見通し下方修正の主な理由の一つだ」と述べ、「中国はアジア企業の利益全体のほぼ40%を占めるだけに、その影響はアジア全体の利益サイクル、投資家心理、海外からの資金流入に及ぶ」とみている。

中国は当初、新型コロナウイルス封じ込め策撤廃後に経済が再始動し、アジア株の上昇を呼び起こしたが、年が明けると景気の減速、不動産セクターの深刻な不振、地政学的緊張などが重なり、市場の熱気は薄れた。

HSBCの株式ストラテジスト、プレナ・ガーグ氏は、アジアの大半で24年に企業利益の伸びが鈍ると予想する。市場では今年の利益の伸び率予想も8月時点の24%から18%に下方修正されていると指摘。「これは主に不動産セクターと公益セクターの業績が予想より悪かったことが理由だ」と分析した。

アジア企業の第3・四半期業績が思わしくなかったことも、来年の業績見通しの下方修正につながった。

LSEGのデータによると、これまでにアジア企業の58%が第3・四半期決算を発表し、このうち53%が市場コンセンサスに届かなかった。

「全体として今決算シーズンは市場の予想を下回っており、予想を上回った企業よりも下回った企業の方が多い。こうした結果が利益見通しの全般的な引き下げにつながった」と、ノムラの株式ストラテジスト、チェタン・セスは今月のメモに書いた。

10月に中国企業とインドネシア企業の業績予想は約2%、香港企業とマレーシア企業の予想は約1.5%それぞれ引き下げられた。一方、インド企業と韓国企業の予想は約0.7%引き上げられた。

ソシエテ・ジェネラルのアガルワル氏は「台湾と韓国は世界的な半導体サイクルの回復で利益見通しが上方修正された。両市場にとって半導体サイクルは最も重要だ」と述べた。

BNPパリバ・アセット・マネジメントの投資スペシャリスト、ミニュエ・リュウ氏は、外需の正常化、中国の不均一な回復、インフレの逆風、地政学的な不確実性が、短期的に市場変動を引き起こす可能性があると注意を促した。

ただ、その一方で「(そうは言っても)内需と投資がアジア新興国の経済成長の新たな原動力となる可能性が高い」とも指摘。「低めのバリュエーション、投資家のポジショニングの軽さ、良好な基礎的諸条件、構造的な長期成長機会などが支えとなり、アジア株は目先のボラティリティーの高まりを乗り切ることができるはずだ」と楽観的な見通しも示した。

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