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銀行規制修正案、資本要件引き上げ水準緩和へ FRB副議長が表明

ロイター / 2024年9月11日 8時3分

米連邦準備理事会(FRB)のバー副議長(金融規制担当)(写真)は10日、銀行の国際的な資本規制(バーゼル3)の最終化実施規制の案と、金融システムに大きな影響を与えかねない大手銀行向けの資本規制を緩和する内容の大幅な修正案に関する概要を明らかにした。2023年5月撮影(2024年 ロイター/Evelyn Hockstein)

Pete Schroeder

[ワシントン 10日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のバー副議長(金融規制担当)は10日、銀行の国際的な資本規制(バーゼル3)の最終化実施規制案と、金融システムに大きな影響を与えかねない大手銀行向けの資本規制を緩和する内容の大幅な修正案に関する概要を明らかにした。ブルッキングス研究所で講演した。

2023年7月に初めて公表されたバーゼル規制の草案は、資産1000億ドル超の銀行が、潜在的な損失の発生に備えるために積み増す必要のある自己資本額の算定を見直すもの。世界の金融システムを安定的に維持するために重要な銀行(GSIB)を対象としたもう1つの規制案は、これらの銀行の資本水準をよりリスクに対応できるようにすることを目的としていた。

バー氏は、全体として、米国の最大手に位置する銀行に関しては約19%の資本要件引き上げを想定していたが、これを9%に引き下げると説明。一方、資産規模2500億ドル以下の銀行はバーゼル規制の対象からほぼ完全に除外されることになる、とも付け加えた。

バー氏は「資本規制の強化には利点がある一方、コスト負担がある。われわれの見直しでは、寄せられた意見を踏まえて、この重要な2つについてよりバランスを取れたものにする」と述べた。

<さらに意見公募>

このような大幅な譲歩にもかかわらず銀行株は3.5%下落し、1カ月ぶりの安値に近付いた。銀行ロビー団体の反応も低調。10日に開催された銀行関連会議で一部銀行が第3・四半期の業績見通しを軟化させたことも銀行株を圧迫した。

アーガス・リサーチの銀行アナリスト、スティーブン・ビガー氏は「銀行株のネガティブな反応は残念だ。業界は当初案からのさらなる緩和を望んでいたのかもしれない」と語った。

今回の修正案については今後さらに意見公募が行われる予定だが、業界のロビー活動が再び活発化し、最終的にはルールがさらに弱められる可能性もある。

<FDICは理事会で検討へ>

FRBは昨年、米国の大手銀行が3行破綻した後、大幅な規制強化に踏み切る構えを示し、銀行システムはより安全になると主張してきた。一方、金融業界は、資本の上乗せは必要なく、それに踏み切れば経済を悪化させると反論。FRBなどの規制当局が適切な手続きを踏んでいないとして、規制を止めるために訴訟を起こすことも辞さない姿勢を示していた。

こうした反発を踏まえ、FRBのパウエル議長は、新たな草案を示し、意見公募すべきだとする考えを示していた。しかし、通貨監督庁(OCC)や連邦預金保険公社(FDIC)は11月の大統領選挙前に最終決定したいとして、FRBと意見が対立していると、6月にロイターが報じていた。

問題はバー氏のプランが訴訟を回避するのに十分かどうか、そしてOCCとFDICがそれを支持するかどうかだ。

FDICのグルーエンバーグ総裁とOCCのマイケル・シュー長官代行はそれぞれ別の声明で、バー氏案は各機関の協力に基づいたものであり、バーゼルの作業が完了するよう尽力すると表明した。

関係者によると、FDICは月内に理事会を開き、この案を検討する予定だ。

対立を背景に議論が長引けば、大統領選までに最終決定されないことになる。規制緩和を訴える共和党候補のトランプ前大統領が返り咲けば、規制案がさらに内容を弱めたり、棚上げされたりする可能性もある。

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