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アングル:台湾レガシー半導体業界、中国にシェア奪われ戦略転換が不可避

ロイター / 2025年2月10日 18時7分

 台湾の力晶科技(パワーチップ・テクノロジー)が中国東部の合肥市と新たなファウンドリー(半導体製造受託)合弁設立契約を結んだ2015年、同社は有望な中国市場へのアクセス向上を期待していた。写真は、基板上の半導体チップ。2023年2月撮影(2025年 ロイター/Florence Lo)

Wen-Yee Lee

[台北 10日 ロイター] - 台湾の力晶科技(パワーチップ・テクノロジー)が中国東部の合肥市と新たなファウンドリー(半導体製造受託)合弁設立契約を結んだ2015年、同社は有望な中国市場へのアクセス向上を期待していた。しかし9年後、その中国ファウンドリー企業である晶合集成(ネクスチップ)は、レガシーチップ(旧世代半導体)分野で最大のライバルの一つとなってしまった。

ネクスチップなどの中国ファウンドリー企業は28ナノメートル以上の技術で製造される563億ドル規模のレガシーチップ市場で急速にシェアを獲得。価格引き下げ、積極的な生産能力拡大計画に乗り出すことで、自動車やディスプレーパネルに使用する半導体市場でパワーチップや聯華電子(UMC)など台湾企業の優位性を脅かしている。

パワーチップ再編後の持ち株会社とその傘下上場子会社である力晶積成電子製造(PSMC)で会長を務める黄崇仁(フランク・ファン)氏は「われわれのような成熟ノード(レガシー)のファウンドリーは変革が必要だ。そうしないと中国の値下げで事態は一段と混乱すり」と語った。

<強まる価格攻勢>

台湾半導体企業の幹部によると、先端半導体技術の追求を米国に阻まれた中国ファウンドリー企業は近年、レガシーチップに注力、政府からの強力な資金援助と低利益率を武器に台湾の競合企業に価格面で優位に立っている。

トレンドフォースによると、2024年のレガシーチップ生産能力における世界シェアは中国が34%、台湾が43%。27年には中国が台湾を上回ると予測されている。

SEMIによると、23─25年生産開始の新しい工場97カ所のうち57カ所は中国にある。

台湾のファウンドリー企業はプロセスの安定性や歩留まりの良さといった点でまだ競争力があるが、ある台湾の半導体設計会社幹部によると、23年以降は中国ファウンドリー企業の攻勢が強まっている。中国企業にサプライチェーン(供給網)の現地化を求める中国政府の要請も強いようだという。

<米国の対中抑止に期待も>

調査会社IDCのシニアリサーチマネジャー、ガレン・ツェン氏は、台湾の半導体設計会社やファウンドリーはプロセスを専門化し、レガシーチップから多角化する可能性が高いと指摘する。

パワーチップの黄氏は、中国市場で主に使用されているディスプレードライバーやセンサーチップ関連の業務を減らし、パフォーマンスを向上させながら消費電力を削減する技術「3Dスタッキング」に重点を移す計画だと述べた。

同社はネクスチップの第2位株主として19%の株式を保有しているが、経営面では積極的な役割を担っていない。

米国が対中抑止に乗り出し、顧客がサプライチェーンを中国と中国以外のネットワークに分断せざるを得なくなっていることも多少の追い風になるかもしれない。

黄氏はロイターに対し、中国に向かうはずだった注文が台湾に回っているとし、それが加速するとの見通しを示した。

台湾のある半導体設計会社幹部は「一部顧客は『メイド・イン・チャイナ』はいらないと言っている」と話した。

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