タイ中銀、3会合連続で金利据え置き 政府の利下げ圧力に抵抗
ロイター / 2024年4月10日 18時54分
[バンコク 10日 ロイター] - タイ中央銀行は10日、主要政策金利の翌日物レポレートを2.50%に据え置くことを決めた。据え置きは3会合連続。成長押し上げへ利下げを求める政府の圧力に引き続き抵抗した。
インフレ抑制のため、2022年8月以降、合計200ベーシスポイント(bp)利上げしており、政策金利は約10年ぶりの高水準となっている。
事前のロイター調査によると、エコノミスト26人中16人が金利据え置きを予想。10人は25bpの利下げを見込んだ。
政策委員会は5対2で据え置きを決定した。
タイのセター首相は前日、中銀が10日の金融政策決定会合で利下げすることを期待していると述べていた。
中銀は声明で「委員会の過半数が、現在の政策金利はマクロ・金融の安定維持に資すると考えており、構造問題の解決における金融政策の効果は限定的とみている」とした。
タイのインフレ率は1年近く、中銀目標の1─3%を下回っている。3月の消費者物価指数(CPI)は前年比0.47%下落し、6カ月連続のマイナスとなった。
中銀はこの日、今年のインフレ率は0.6%の見通しとし、2月に示した予想の1%を引き下げた。
今年の国内総生産(GDP)予測を2.6%増に修正した。従来予測は2.5─3.0%増だった。政府は今年4%の成長を予測している。
パンテオン・マクロエコノミクスのミゲル・チャンコ氏は「GDPの伸びが弱く鈍化しつつあり、CPIもマイナス圏にあることを踏まえ、段階的な緩和開始が近いというのが当社の中核的な予想」と述べた。
その上で「中銀が金利を必要以上に高い水準に長く維持しているのは、政府があからさまに利下げを要求する中、組織としての独立性を誇示するためだ」と指摘した。
市場は年内に2回の利下げがあると予想。次回6月12日の政策委員会での利下げ開始が見込まれている。
キャピタル・エコノミクスのガレス・レザー氏は「景気低迷で最終的には利下げを迫られるだろう。次回6月の可能性が最も高い」と述べた。
中銀は観光と公的支出が今年を通じて拡大すると予想。ただ輸出は下半期に緩やかな回復しか見込めないとしている。今年の輸出の予測は2月時点の2.6%増から2%増に引き下げた。
「輸出と製造業の競争力悪化といった構造的な障害のほか、世界的な余剰生産能力もあり、タイ経済が世界経済回復から受ける恩恵は限られている」と述べた。
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