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米経済は「良好な位置」、新型肺炎は懸念要因 FRB議長が議会証言

ロイター / 2020年2月12日 5時16分

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は11日に行った半期に一度の議会証言で、米経済見通しに対し前向きな見方を示した。昨年7月撮影(2020年 ロイター/LEAH MILLIS)

[ワシントン 11日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は11日に行った半期に一度の議会証言で、米経済は良い位置にあるとし、経済見通しに対し前向きな見方を示した。同時に、中国が発生源となっている新型コロナウイルスの感染拡大のほか、米経済の長期的な健全性に対する懸念を表明した。

パウエル議長は下院金融サービス委員会で行った証言で、2019年下半期は「昨夏に強まった世界的な向かい風に対し経済は耐性を示した」との見解を表明。「米経済は極めて良好な位置につけており、良好に推移している」とし、「景気拡大が継続できない理由はない」と述べた。

その上で、通商政策を巡る先行き不透明性などのリスクが縮小し、世界的な経済成長が安定する中、新たな展開により現在の見通しの「大幅な再評価」が必要にならない限り、金利を調整する必要はないと指摘。議長証言に先立ちFRBが7日に公表した金融政策報告書の内容を改めて確認した。同報告書でFRBは現在のフェデラル・ファンド(FF)金利の水準は経済回復を維持する上で「適切」との見解を示している。

ただ議長は「中国で混乱を引き起こし、世界経済に波及する恐れのある新型コロナウイルスの動向をFRBは緊密に注視している」と警戒感を表明。新型ウイルスの感染拡大で中国のほか、近隣諸国と貿易相手国が影響を受け、「米国も何らかの影響を受ける公算が極めて大きい」とし、「見通しの大幅な再評価につながるような持続的な影響が及ぶのか、われわれは見極めることになる」と述べた。ただ、現時点で判断するのは時期尚早との考えを示した。

米労働市場については、雇用の伸びは「新たに労働市場に参加する働き手が職に就くに十分な水準を上回り続けている」とし、失業率の低下につながっていると指摘。「雇用側はこれまでに増して技能が低い働き手を採用した後に訓練する意向を示している」とし、こうしたことはこれまでよりも多くの人が力強い労働市場の恩恵を受けていることを意味すると述べた。

ただ、人種や民族などによる格差の存在のほか、他の多くの先進国に比べ働き盛りの年代の労働参加率が低いなどの問題はあると指摘。生産性の伸びも「現在の景気拡張期を通して標準を下回っている」とし、労働参加率と生産性を押し上げる手段の模索を「米国は引き続き優先事項とする必要がある」とした。

また、主要貿易国との通商問題を受け、昨年下半期は企業投資と輸出も軟調だったとの見方も示した。FRBの目標を根強く下回っているインフレ率については、向こう数カ月で目標に近づいていくと予想されると述べた。

議長は連邦政府の赤字についても暗に警告。「経済が力強い時に連邦予算を持続可能な軌道に乗せることは、景気が減速した際に経済の安定化に向け財政政策を利用する余地を確保する一助となる」と述べた。

このほか、FRBが昨年10月に発表した短期金融市場の逼迫の緩和に向けた財務省証券買い入れやレポオペの実施などの措置については、「こうしたテクニカルな措置は金融政策が効果的に作用することを支援する」とし、金融政策スタンスの「変更を意図したものではない」と説明した。

証言を行ったパウエル議長に対し、議場からは短期金融市場への資金供給から気候変動問題や地域再投資法(CRA)に至るまで広範な質問が出た。

これに対し議長は証言原稿に概ね沿った形で回答。気候変動対策については、他の政府機関の管轄となるとの見解を改めて示すと同時に、極端な気象状況が金融システムの不安定化につながらないようにすることがFRBの責務であるとの認識を示した。また、CRAの変更を巡る新たな提案については多くを示さず、どのような経済的な影響があるのかよく把握していないと述べるにとどめた。

トランプ大統領が進める減税や通商政策は経済の支援になっているかとの質問に対しては、「高いレベルでは、当然、支援要因となっている」と答えた。

トランプ大統領はパウエル議長の議会証言中に米政策金利は高過ぎるとツイッターに投稿し、FRBを改めて批判。「ダウは125ドル上昇し、一段高となる勢いだったが、例のごとくジェローム・パウエル氏がしゃべり始めてからは着実に下落し、今は15ドル安になっている」としたほか、「ドイツや他の国は資金を借りるのに利子をもらっている。米国は最盛期にあるが、FF金利は高過ぎ、ドルは輸出にとって有利ではない」と投稿した。

パウエル議長の議会証言に米金融市場は当初は大きく反応せず、中盤の取引でS&P総合500種<.SPX>は小幅高、10年債利回りはほぼ横ばいで推移していたが、証言が進むにつれS&P総合500種は上げ幅を縮小し、ダウ工業株30種は一時マイナス圏に陥った。

議長はトランプ氏のツイートや市場の動きに関する質問に対し、FRBは完全雇用と物価安定という2つの責務の達成のみに注力していると述べるにとどめた。

*内容を追加しました。

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