米FRB当局者、マイナス金利政策の導入に否定的
ロイター / 2020年5月12日 7時52分
米アトランタ地区連銀のボスティック総裁は11日、マイナス金利政策について、「政策ツールの中でも弱いものの1つ」との考えを示し、あまり支持していないと述べた。ワシントンのFRB本部で2018年7月撮影(2020年 ロイター/Leah Millis)
[11日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)当局者らは、新型コロナウイルスの感染拡大防止策により打撃を受ける経済を支援するため、あらゆる措置を講じる構えを示している。しかし、マイナス金利の導入には否定的なようだ。
シカゴ地区連銀のエバンズ総裁は、11日の講演で「われわれは、安全が確保された時点で経済活動が再開できるよう、あらゆる措置を講じ、可能な限り早期に繁栄を取り戻すことに注力しなければならない」と表明。金利はゼロ付近に「かなりの長期間」とどまる見通しだとした。
しかし、マイナス金利について聞かれると「米国で活用するツールになるとはみていない」と述べ、導入に否定的な姿勢を示した。
米金利先物市場は先週、来年以降のマイナス金利を織り込むという初めての動きを見せ始めたが、11日にはこうした見方はほぼ後退した。
FRBは以前からマイナス金利の導入には慎重な姿勢を示している。現在の危機下では、家計や企業の支出を妨げている問題が通貨価値ではなく、政府の制限措置と公衆衛生を巡る懸念であることから、とりわけ効果がないとみている。
セントルイス地区連銀のブラード総裁も11日、米短期金融市場の構造は日本や欧州と異なるため、マイナス金利を導入すれば「問題となる」だろうと指摘。さらに「(マイナス金利を導入している地域で)効果が出ているかは全く明らかではない。われわれは他の手段を用いて対応することが可能だ」と述べた。
アトランタ地区連銀のボスティック総裁も同日、マイナス金利政策について、「政策ツールの中でも弱いものの1つ」との考えを示し、あまり支持していないと述べた。
また、FRBのクォールズ副議長はこの日、上院銀行委員会向けの準備原稿で、新型コロナ危機のさなかに銀行が融資を拡大していることを評価。同時に「経済全体の健全性維持という点では銀行の役割には限界があり、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)に対する公衆衛生上の対応がカギとなる」と指摘した。
マイナス金利については言及しなかったが、同委員会の公聴会で触れる可能性がある。
クォールズ副議長は、FRBは新型コロナ危機が終息する前に「一段の行動が求められるかもしれない」とし、「今求められていることを行うと約束するしかない」と語った。
*内容を追加しました。
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