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アングル:中国との対立が飛び火、「留学生減」が豪経済直撃も

ロイター / 2020年6月11日 13時54分

6月10日、先進国の中で、新型コロナウイルス危機からいち早く脱したオーストラリアが、中国との関係悪化に揺れている。写真は2016年4月、シドニー大の卒業式で撮影(2020年 ロイター/Jason Reed)

[シドニー 10日 ロイター] - 先進国の中で、新型コロナウイルス危機からいち早く脱したオーストラリアが、中国との関係悪化に揺れている。新型コロナの発生源調査問題に反発した中国政府は、さまざまな形でオーストラリアをけん制、その対象は教育にも波及した。豪政府も、経済への影響を懸念し始めた。

中国教育省は9日、オーストラリアへの留学を検討している学生に慎重に判断するよう促した。新型コロナウイルスの発生を受けて中国人を含むアジア人を差別する動きが見られると説明した。

中国は、オーストラリアにとって最大の貿易相手であると同時に、同国に最も多くの留学生の送り出している国でもある。豪政府のデータによると、2019年の海外留学生(中高等教育機関部門)の37.3%を中国人が占めた。

中豪関係は数年前から悪化していたが、豪が新型コロナウイルスの発生源について国際的な調査を呼び掛けたことでさらに悪化した。

中国は、豪製品ボイコット論や、豪農産品の輸入制限に動き、先週は新型コロナ流行に絡む中国人への人種差別と暴力を理由に、国民に豪への渡航回避を勧告した。

オーストラリアは、新型コロナの封じ込めに成功した国の一つだが、経済的な打撃は大きく、第1・四半期は9年ぶりのマイナス成長となり、30年ぶりの景気後退入りが予想されている。

中国政府が豪留学に「待った」をかけたことを受け、バーミンガム貿易・観光・投資相は10日、メディアに、中国人留学生が減少すれば、国内の大学に影響が出るだろうと述べた。その上で、それは中国人学生にとってもマイナスであり、長期的に「両国の相互理解の深化に寄与しない」との認識も示した。

<外交問題の「とばっちり」>

豪名門8大学で成る「Group of Eight」の代表、ビッキ・トムソン氏はロイターに「国際教育が政治的捕虜にさせられた」と述べ、豪中の外交的対立に大学が巻き込まれたとの認識を示した。

トムソン氏によると、中国大使館は9日、同氏に対し、中国人学生が新型コロナ危機中に攻撃されたという報告は受けていないと表明し、留学が標的になることはないと説明したという。

新型コロナへの対応を理由に豪はニュージーランドに次ぐ人気の留学先という調査結果も出ているが、国内では大学が1国の留学生の授業料に過度に依存しているとの批判も出ている。ニュー・サウス・ウェールズ州政府の監査当局によると、州内の大学の2019年の収入の3分の1は留学生の授業料だった。

ムーディーズ・インベスターズ・サービスのバイスプレジデント、ジョン・マニング氏は、新型コロナに関連した渡航規制で、中国の警告が豪大学の今年の収入に与える影響は抑えられるとみる。「より長い目でみれば、国際的に評価が高い豪大学は多く、今後も魅力的な留学先であり続けるだろう」と述べた。

(Kirsty Needham記者)

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