アングル:米FRBの問題意識に変化、パウエル議長発言から読む
ロイター / 2020年6月11日 12時30分
6月10日、米FRBのパウエル議長(写真)はFOMC後の会見で、景気が回復しても再就職できない恐れがある多数の失業者の問題を中心的に取り上げた。3月3日、ワシントンで撮影(2020年 ロイター/Kevin Lamarque)
[ワシントン 10日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は4月末に行われた連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、今後数カ月内に新型コロナウイルス感染の第2波や第3波が訪れ、国内景気に大打撃を与える可能性に繰り返し言及した。
それが9━10日に開いた今回のFOMC後の会見では、景気が回復しても再就職できない恐れがある多数の失業者の問題を中心的に取り上げた。
全米の大半で外出制限が敷かれ、景気が大幅に悪化した3月半ばから4月下旬と同様の経済封鎖が、再び実施されるとの懸念は消えたかのようだ。
パウエル氏は10日の会見で、第2波の可能性について問われ「いつ経済を再開するかの決定は州・地方・連邦レベルの政治家に委ねられており、われわれとして特別に追加すべきことはない」と慎重な回答にとどめた。
実際に多くの州は、保健当局者の警告には従わずに経済活動の再開を開始。一方、ロイターの集計によると、国内の新規感染者数は5週連続で減少した後、再び小幅に増加している。
アジアや欧州の諸国は、新規感染者が安定的に大幅減少するのを待って経済再開を決めたが、米国の多くの州知事は経済成長よりも公衆衛生上の危機への対応を優先できる期間は限られていると繰り返し強調してきた。
FRBは国内のこのような動きをある程度、経済見通しに織り込んだようだ。パウエル氏は、5月の雇用統計で非農業部門雇用者数が予想外に前月比250万人増となったことは、労働市場が底を打った可能性を示していると分析。
「全米でのソーシャルディスタンシング(社会的距離)制限の緩和で人々の移動が増え、多くの企業がそれぞれ程度は違うが業務を再開している」と表明。同時に将来についての不確実性はなお高いとした。
10日に公表されたFRBの経済見通しは、景気回復は今年下半期に始まり、今後数年間続くと予測した。今後の課題として浮上したのは、再就職先を容易に見つけられない人々への支援だ。
一方、新型コロナ感染の第2波で大きな経済的ショックがもたらされる可能性について、パウエル氏は、全米の封鎖よりむしろ、感染者の急増が局部的に起こり、回復で出遅れている観光や外食、娯楽といった業界への人々の信頼感が悪化する公算が大きいと分析した。「前向きな動きにはならない。それ以上はコメントしない」と語った。
この記事に関連するニュース
-
インフレ抑制、第2四半期に進展 「確信幾分強まる」=FRB議長
ロイター / 2024年7月16日 5時50分
-
年内1・2回の利下げ適切、CPIで調整正当化=米SF連銀総裁
ロイター / 2024年7月12日 5時53分
-
年内1・2回の利下げ適切、CPIで調整正当化=米SF連銀総裁
ロイター / 2024年7月12日 3時23分
-
米9月利下げに「一歩前進」、労働市場が減速 円安から円高に転換するか?
トウシル / 2024年7月10日 16時0分
-
日経平均「再度の4万1000円突破」は十分に可能だ 「米国利下げ後ずれ」「中国減速」のリスクは?
東洋経済オンライン / 2024年7月1日 9時30分
ランキング
-
1今回のシステム障害、補償はどうなる?…「保険上の大惨事」「経済的損害は数百億ドル」
読売新聞 / 2024年7月20日 21時24分
-
2次はコメで家計大打撃!? 昨年の猛暑の影響で不足が懸念、約11年ぶりの高値水準に 銘柄によっては品薄や欠品も
zakzak by夕刊フジ / 2024年7月20日 10時0分
-
3「みんなの意見は正しい」はウソである…ダメな会社がやめられない「残念な会議」のシンプルな共通点
プレジデントオンライン / 2024年7月20日 16時15分
-
4AI利用で6割が「脅威感じる」 規則・体制整備に遅れも
共同通信 / 2024年7月20日 16時50分
-
5物言う投資家エリオット、スタバ株を大量取得=関係筋
ロイター / 2024年7月20日 5時59分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)