NY市場サマリー(11日)米株はまちまち、ドル上昇
ロイター / 2020年12月12日 7時9分
[11日 ロイター] -
<為替> 安全通貨としてドルが買われた。米国で新型コロナウイルス感染者が増加する中、追加の財政刺激策を巡る懸念が広がっているほか、合意がないまま英国が欧州連合(EU)を離脱する可能性が高まったことでリスク選好度が低下した。
米国では早ければ11日にも新型コロナワクチンが承認されるとみられている一方、追加の新型コロナ救済法案を巡る協議はまだ実を結んでおらず、民主党のペロシ下院議長は10日、協議がクリスマスまで長引く可能性を示した。
OANDAのシニア市場アナリスト、エドワード・モヤ氏は「今週は多くの点で残念な1週間だった」と指摘。「米議会の新型コロナ追加対策を巡る協議に進展はなく、英EU離脱はまたもや最後まで予断を許さず、米国では新型コロナの死者数と入院者数が驚異的なペースで増加しており、一段の制限措置やロックダウン(都市封鎖)につながる可能性が高い」と述べた。
ドル指数は0.23%高の90.955。4日に付けた2年半ぶりの安値90.471をやや上回る水準で推移した。
米労働省が11日に発表した11月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比0.1%上昇と、4月以来の小幅な伸びにとどまった。一方、米ミシガン大学が11日に発表した12月の消費者信頼感指数(速報値)は81.4と前月の76.9から上昇し、市場予想の76.5を上回った。
ポンドは0.50%安の1.3223ドル。合意なき英EU離脱の可能性が高まったことでポンドのボラティリティー上昇を見込む動きが広がった。
英国のジョンソン首相は11日、難航している欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)交渉について、合意が成立しないまま年末の離脱移行期間の終了を迎える公算が大きいとの見方を示した。
また、欧州委員会のフォンデアライエン委員長は11日、英国との通商交渉について、公平な競争環境の確保とEU側の漁船による英海域での漁業権が争点となっており、依然立場に開きがあるとの認識を示した。
ポンドの1週間物インプライド・ボラティリティーは9カ月ぶりの高水準に達した。また、投資家がポンド安に備える動きを強めたことから、コールに対するプットのプレミアムが4月以降で最高値を付けた。
ユーロは対ドルで反落。0.23%安の1.2115ドルとなった。前日には欧州中央銀行(ECB)が新型コロナ感染第2波に対応しユーロ圏経済を支援するため、追加の金融緩和策を打ち出したほか、EUのミシェル大統領が、総額1兆8000億ユーロの2021─27年予算と新型コロナウイルス復興基金で合意したと発表した。
<債券> リスク選好度が低下する中、国債に買いが入り、利回りが全般的に低下した。中でも2年債利回りは4カ月ぶり低水準を付け、連邦準備理事会(FRB)が来週の会合で国債買い入れ策の調整を決定するのではないかとの観測が出ている。
難航している経済対策を巡る与野党協議がクリスマスを通して継続するとの観測のほか、仏サノフィと英グラクソ・スミスクライン(GSK)が、開発中の新型コロナウイルスワクチンの実用化が来年後半にずれ込む見通しを発表したことも、米国債利回りの低下につながった。
10年債と30年債利回りは、12月1日以来の低水準を更新。2年債利回りは8月7日以来の低水準を付けた。
終盤の取引で、10年債利回りは1.5ベーシスポイント(bp)低下の0.892%、30年債利回りは1.4bp低下の1.622%。
10年債利回りは3月以降、60bpを超えて上昇。30年債利回りは約100bp上昇した。一方、2年債利回りは5月に過去最低水準を更新した後は、1.5bpしか上昇していない。
FRBが来週の連邦公開市場委員会(FOMC)で、国債買い入れ枠は変更せずに、長期債の購入を増やす一方で短期債の購入を減少させることを決定すれば、長期債利回りの上昇を抑制すると同時に、短期債利回りの低下に歯止めをかけられる可能性がある。
キャンター・フィッツジェラルドの米国債アナリスト兼トレーダー、ジャスティン・レデラー氏は「FRBは国債利回りやレポ金利がマイナスに陥るのは明らかに望んでいない」と述べた。
<株式> まちまち。ダウ工業株30種が小幅高となる一方、ナスダック総合指数やS&P総合500種指数は値下がりした。追加経済対策を巡る不透明感が相場全体の重しとなった。
米上院は11日、連邦政府のつなぎ予算の期限を18日まで1週間延長する法案を全会一致で可決した。下院は9日に可決しているため、トランプ大統領の署名を受け成立する。
こうした中、民主党のペロシ下院議長は10日、追加経済対策を巡る折衝がクリスマス明けの26日まで長引く可能性があると述べた。
アセント・プライベート・ウェルス・グループのトム・へインリン氏は「いずれは決着し、一定の刺激策が打ち出されるというのが基本シナリオだ」と述べた。
ニューヨーク州のクオモ知事は11日、ニューヨーク市内のレストランでの屋内飲食を14日から禁止すると発表した。市内の新型コロナウイルス感染率が上昇しているほか、入院者数が安定しないことなどが理由という。
経済指標では、12月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)が81.4と前月の76.9から上昇し、市場予想の76.5を上回った。11月の卸売物価指数(PPI)は前月比0.1%上昇と、4月以来の小幅な伸びにとどまった。
娯楽大手ウォルト・ディズニーは13.6%急騰。10日の投資家向け説明会で、動画配信サービス「ディズニー+(プラス)」のコンテンツ拡充に向けてマーベルやスターウォーズの新シリーズを配信すると明らかにした。
通信用半導体大手クアルコムは7.4%安。ブルームバーグはアップルが自社製品に搭載するセルラーモデムの開発に着手したと報じた。アップルは0.7%安。
<金先物> リスク回避ムードの広がりを受けて安全資産としての需要が高まり、3日ぶりに反発した。中心限月2月物の清算値(終値に相当)は前日比6.20ドル(0.34%)高の1オンス=1843.60ドル。これで2週連続のプラス。
<米原油先物> 目先の景気悪化懸念などを受けて、反落した。米国産標準油種WTIの中心限月1月物の清算値(終値に相当)は前日比0.21ドル(0.45%)安の1バレル=46.57ドル。2月物は0.21ドル安の46.75ドルとなった。
ドル/円 NY終値 104.01/104.04
始値 104.09
高値 104.15
安値 103.83
ユーロ/ドル NY終値 1.2111/1.2115
始値 1.2121
高値 1.2132
安値 1.2106
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 99*30.00 1.6276%
前営業日終値 99*23.50 1.6360%
10年債(指標銘柄) 17時05分 99*25.50 0.8964%
前営業日終値 99*22.00 0.9080%
5年債(指標銘柄) 17時05分 100*01.75 0.3639%
前営業日終値 99*30.75 0.3830%
2年債(指標銘柄) 17時05分 100*00.25 0.1210%
前営業日終値 99*31.13 0.1390%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 30046.37 +47.11 +0.16
前営業日終値 29999.26
ナスダック総合 12377.87 -27.94 -0.23
前営業日終値 12405.81
S&P総合500種 3663.46 -4.64 -0.13
前営業日終値 3668.10
COMEX金 2月限 1843.6 +6.2
前営業日終値 1837.4
COMEX銀 3月限 2409.2 ‐0.2
前営業日終値 2409.4
北海ブレント 2月限 49.97 ‐0.28
前営業日終値 50.25
米WTI先物 1月限 46.57 ‐0.21
前営業日終値 46.78
CRB商品指数 161.2492 ‐0.1425
前営業日終値 161.3917
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