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津波と原発事故から10年、東日本大震災 2万人以上が犠牲に

ロイター / 2021年3月11日 16時34分

 3月11日 政府が開いた追悼式典には、天皇・皇后両陛下が出席した。天皇陛下は「困難な状況にある人々が、誰一人取り残されることなく、1日でも早く平穏な日常の暮らしを取り戻すことができるように、復興の歩みが着実に実を結んでいくよう、これからも私たちみなが心を合わせて、被災した地域の人々に末永く寄り添っていくことが大切であると思います」とお言葉を述べた。写真は3月11日、東京の国立劇場で撮影(2021年 代表撮影)

[いわき市/浪江町(福島県) 11日 ロイター] - 東北から関東の広い地域を襲った東日本大震災から、11日で10年を迎えた。強い揺れとその後に繰り返し押し寄せた津波は、2万人以上の命を奪った。今も2500人超の行方が分かっていない。福島第1原子力発電所の廃炉は想定通り進まず、いまだに故郷に戻れない人が多くいる。この日は朝から各地で人々が集まり、地震が発生した午後2時46分には犠牲者に黙とうをささげた。

<みぞれが降っていた10年前>

震災からちょうど10年となる11日早朝、福島県いわき市の久之浜地区にある秋葉神社には、20─30人の住民が集まり、奇跡的に倒壊を免れた社に手を合わせた。みんな高齢で、体調や天気、日々の生活について話しながら、折り鶴や花で神社を飾った。これほど暖かく、風がない日はこの10年で初めてだという。

2011年3月11日午後2時46分に三陸沖で発生したマグニチュード9.0の大きな地震は、宮城県北部で最大震度7を記録した。太平洋沿岸を広範に襲った巨大な津波は、最高16.7メートルだったと気象庁は推定している。

久之浜地区にも津波が押し寄せ、街は流された。その中で、海岸から近いこの神社は倒壊せずに残った。「10年前、みぞれが降ってきて寒かった。寒いとどうしても、あのときのことを思い出さざるを得なかった」と、語り部として活動する62歳の女性は言う。「10年ひと区切りと言うが、気持ちの上ではいつもと変わらない。みんながきょう、この神社に来て手を合わせているんだな、と」。

いわき市で飲食店を営む新妻篤さん(47)も、3月11日が来るたびに秋葉神社を訪れる。新妻さんが静かに祈りを捧げた石碑には、震災で犠牲になった66人の名前が刻まれている。そこには67歳で亡くなった母親の光子さんの名前もある。

光子さんの家は神社から近く、海岸から50メートルほどしか離れていなかった。新妻さんの子どもたちの世話をしていた彼女は、急いでみんなを車に乗せた。しかし、忘れ物を取りに戻ったところで津波に流された。遺体が見つかるまでに1カ月以上かかった。

「おばあちゃん子だった子どもたちも、みんな元気に過ごしているよ。無事に過ごしていると、感謝の気持ちを伝えにきた」と、新妻さんは話す。

警察庁によると、震災の死者は全国で1万5000人以上。復興庁は、関連死を含めた犠牲者は2万人以上としている。国内メディアによると、今なお2500人を超える行方不明者がいる。建物の被害は全壊が約1万6000戸、半壊が約2万6000戸に及んだ。

<燃料デブリの取り出しを延期>

津波で冷却システムが停止した東京電力福島第1原発では、3基の原子炉でメルトダウン(炉心溶融)が起き、深刻な放射能汚染が広がった。

福島県内の12市町村が避難指示区域となり、10万人以上の住民が避難を余儀なくされた。その後は除染作業などが進み、避難指示は徐々に解除されたが、過疎化の進展や就職先の少なさもあり、住民の帰還は順調に進んでいない。

廃炉の工程表をまとめた政府と東京電力は、2021年中にデブリ(溶け落ちた核燃料)の取り出しを始める予定だった。しかし、高い放射線量などで作業は難航。1年程度延期することを決めた。タンクに貯蔵している処理済み汚染水の処理方法についても、政府は今月9日、事実上の先送りを閣議決定した。

事故から10年目を迎えた11日、原発から北へ約10キロ離れた浪江町の大平山霊園には、人々が献花と慰霊に訪れていた。地震が発生した午後2時46分、彼らは自宅や大切な人をのみこんだ海を見つめ、静かに祈った。

ほぼ同じ時刻に政府が東京の国立劇場で開いた追悼式典には、天皇・皇后両陛下が出席した。天皇陛下は「困難な状況にある人々が、誰一人取り残されることなく、1日でも早く平穏な日常の暮らしを取り戻すことができるように、復興の歩みが着実に実を結んでいくよう、これからも私たちみなが心を合わせて、被災した地域の人々に末永く寄り添っていくことが大切であると思います」とお言葉を述べた。

政府がこれまでに投じた復興費はおよそ31兆円。阪神淡路大震災復興事業費の2倍程度に相当する。

*内容を追加しました。

(山光瑛美、Irene Wang、Kim Kyung Hoon、竹本能文 記事執筆:久保信博 編集:石田仁志 )

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