日産の今期、3年連続の最終赤字見通し 半導体不足で25万台減産
ロイター / 2021年5月11日 21時21分
5月11日、日産自動車は、2022年3月期(今期)の連結純損益が600億円の赤字になる見通しと発表した。写真は同社のロゴ。キエフで昨年6月撮影(2021年 ロイター/Valentyn Ogirenko)
[東京 11日 ロイター] - 日産自動車は11日、2022年3月期の連結純損益が600億円の赤字になる見通しと発表した。半導体の供給不足で減産を見込むほか、原材料価格の高騰などが響く。最終赤字は3年連続となる。
アナリスト16人による市場予想の平均値(IBESのコンセンサス予想、1346億円の黒字)を大幅に下回った。
売上高は前期比15.7%増の9兆1000億円、営業利益は前期(1506億円の赤字)から1507億円改善のゼロを見込む。中期経営計画では今期の営業利益率は2%を目標にしており、この業績予想のままでは未達となる。
内田誠社長はオンライン会見で、最大のリスクとみる半導体不足と原材料高騰の影響を最小限に抑えるよう対策を講じると強調。第1・四半期決算発表時に今期見通しをあらためて出す考えを示した。
半導体供給不足による生産への影響は、今期約50万台に影響が出るとみており、現時点でこのうち半分は下期に取り戻し、通期で25万台にとどめることを前提にしている。
同席したアシュワニ・グプタ最高執行責任者(COO)によると、半導体不足はルネサスエレクトロニクスの工場火災が主因だが、想定より早く復旧しているため、下期に約半分は挽回できるとの見通しという。21年3月期は半導体供給不足による生産への影響は約13万台に及んだものの、このうち「5割は挽回した」(グプタCOO)。
22年3月期の世界販売は前期比8.6%増の440万台を計画する。中国で153万台(前期は145万7000台)、日本で51万台(同47万8000台)、北米が142万台(同121万3000台)、欧州で38万台(同39万1000台)を見込む。
業績予想の前提となる為替レートは1ドル=105.0円(前期は106.1円)、1ユーロ=120.8円(同123.8円)。
同時に発表した21年3月期の連結業績は、新型コロナウイルスの世界的な流行などを受けた販売減、カルロス・ゴーン前会長の拡大路線を軌道修正するための構造改革費用がかさみ、4486億円の最終赤字だった。
営業損益は1506億円の赤字(前の期は404億円の赤字)。営業赤字幅は1994年3月期に計上した1440億円を上回り、過去最大となった。前期の売上高は前の期に比べ20.4%減の7兆8625億円だった。
3月末時点の自動車事業の手元資金は約1兆8961億円、同事業のネットキャッシュは6360億円で、約2.2兆円の未使用のコミットメントラインを維持しているという。
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