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情報BOX:国際法人税最低税率15%、最終合意の主なポイント

ロイター / 2021年10月11日 11時23分

10月8日、経済協力開発機構(OECD)は8日、巨大多国籍企業に最低15%の共通税率を適用し、これらの企業の課税逃れ対策を強化するなどの国際課税改革について、136カ国・地域が最終合意したと発表した。パリのビジネス地区で8月撮影(2021年 ロイター/Sarah Meyssonnier)

[パリ 8日 ロイター] - 経済協力開発機構(OECD)は8日、巨大多国籍企業に最低15%の共通税率を適用し、これらの企業の課税逃れ対策を強化するなどの国際課税改革について、136カ国・地域が最終合意したと発表した。ケニア、ナイジェリア、パキスタン、スリランカはまだ合意に加わっていないものの、136カ国・地域は世界経済の90%強を占める。

合意内容の主なポイントは以下の通り。

◎世界共通の最低税率を導入する理由

新型コロナウイルス危機を経て財政がひっ迫した多くの政府は、巨大多国籍企業が利益を移転し、税収が失われる流れを食い止めようとかつてないほど必死だ。

こうした企業は現状、売上高がどこで発生しているかに関係なく、利益を税率の低い国に移している。

医薬品の特許権やソフトウエア、知的財産のロイヤルティーといった無形資産からの収入が低税率国に向かう傾向は強まる一方で、各企業は昔から本社がある国で、より高い税金を支払わずに済むようになっている。

共通最低税率やその他の措置は、何十年にもわたる外国投資誘致のための政府間の租税競争を終わらせることを目指している。

◎今回の合意が有効に働く仕組み

共通最低税率は、複数の国で事業を展開し、年間総収入が7億5000万ユーロ(8億6800万ドル)を超える企業の海外利益に適用される。各国は引き続き法人税率を随意に設定できるものの、対象企業が共通税率より低い国で納税して負担を軽減したとしても、その企業の本国が共通税率との差分を改めて徴収できるため、企業側に利益移転のメリットがなくなる。

また、今回の決定では、対象企業の売上高の10%を超える「超過利益」に対し、関係国・地域は25%の課税を行えることが加わった。

◎次の段階

8日に技術的な詳細の合意が成立したことで、次は20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議がこの合意を正式承認し、10月末のG20首脳会議(サミット)で採択される運びとなる。

それでも米国の立場がどうなるか疑問は残っている。バイデン政権が議会に可決を求めている税制改革の行方に左右される面があるからだ。

今回の合意は、各国に来年中の法制化と2023年までの実施を求めている。以前の国際課税に関する合意実現までにかかった年数を考えれば、これは非常にタイトなスケジュールと言える。近年、デジタルサービス分野に独自の課税を行っている国は、その廃止が必要になる。

◎経済的な影響

協議のまとめ役となってきたOECDの試算では、共通最低課税によって世界全体で年間1500億ドルの追加税収がもたらされる。また、1250億ドル強相当の利益に対する課税権が、低税率国から実際に企業が稼ぎを生み出している国に転じる。

エコノミストは、今回の合意で巨大多国籍企業が本社を置く国に利益を還流する動きが促進され、これらの国の経済てこ入れにつながると予想している。

ただ、多くの米企業が欧州事業の拠点を置くアイルランドなどの低税率国への打撃を緩和する目的で、合意にはさまざまな例外・除外規定も設けられた。

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