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アングル:ECB、利上げ停止か実施か 5つの疑問点

ロイター / 2023年9月12日 7時17分

9月11日、 今週14日の欧州中央銀行(ECB)理事会で利上げが停止されるか実施されるか市場の見方が割れている。写真はECBのラガルド総裁。フランクフルトで7月撮影(2023年 ロイター/Kai Pfaffenbach)

Yoruk Bahceli Stefano Rebaudo

[11日 ロイター] - 今週14日の欧州中央銀行(ECB)理事会で利上げが停止されるか実施されるか市場の見方が割れている。インフレの粘着性が高い一方、経済活動が急減速しているためだ。

INGのマクロ担当グローバルヘッド、カーステン・ブルゼスキ氏は「利上げを停止するか、実施するかは非常に微妙だ。コインを投げて裏と出るか表と出るかといったところだ」と述べた。

(1)利上げの有無

市場の見方は割れているが、利上げ停止を見込む向きが相対的に多い。利上げの確率は40%。この確率は変動が続いている。

多くのエコノミストにとって一つはっきりしているのは、追加利上げを実施するなら、9月が最後のチャンスになる可能性が高いという点だ。

UBSの欧州担当チーフエコノミスト、ラインハルト・クルーゼ氏は「もし9月に利上げできない場合、10月の利上げは難しくなる。景気指標が悪化する可能性が高く、9月のインフレ率もかなり鈍化するとみられる」とし、25ベーシスポイント(bp)の利上げを予想した。  

(2)ECBは経済成長とインフレのどちらを懸念しているのか。

これは難問だ。食品やエネルギーなど変動の激しい項目を除く8月のコアインフレ率は5.3%と、予想以上に鈍化したが、ECBの目標である2%を依然大きく上回っており、労働市場の過熱も続いている。

一方で経済活動は急速に縮小しており、累積425bpの利上げで資金調達環境が悪化している。融資の伸びは鈍化し、7月のユーロ圏のマネーサプライは2010年以来初めて縮小した。

センテノ・ポルトガル中銀総裁などハト派は、慎重な対応が必要と主張。シュナーベル専務理事やホルツマン・オーストリア中銀総裁などタカ派は、利上げ停止は決定事項ではないと警告しているが、利上げへの支持を明言していない点は重要だ。

JPモルガン・アセット・マネジメントの債券投資最高責任者、イアン・スティーリー氏は「ECBが全体として経済成長データの方を懸念し、今回は利上げ停止の機会にするというのが基本シナリオだ」と述べた。  

(3)9月の理事会後の見通し

ECB当局者は利上げ局面が終了に近づいており、金利は当面、高水準に維持されるとすでに指摘している。

ブルゼスキ氏は「もし利上げならハト派的な声明を出すだろう。利上げ停止ならタカ派的な声明を出すだろう。ECBが利上げ終了を公式に宣言するとは思えない」と述べた。

市場はヘッジをかけており、年内の追加利上げの確率は約70%となっている。

トレーダーは来年後半からの利下げを予想しているが、ラガルド総裁がそうした見方を肯定することはないだろう。  

(4)ECBの新たな経済予測

利上げの選択肢を排除していないタカ派も、14日発表のECBの経済予測が決定を左右すると指摘している。

チーフエコノミストであるレーン専務理事は、コアインフレ率の鈍化は6月の予測に沿ったものだと述べた。

エコノミストの間では、ECBが短期的なインフレ予測を引き上げ、経済成長予測を引き下げるとの見方多い。

また2025年のインフレ予測が2.2%から下方修正されれば、利上げ停止の論拠となる。  

(5)PEPPの再投資

ECBは7月にバランスシート縮小を加速し、資産購入プログラム(APP)の下で買い入れた債券について満期償還資金の再投資を停止した。

インフレは高止まりしており、量的引き締めで市場が混乱している形跡は現時点で見られない。このため、タカ派はパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)についても、再投資の終了時期を現在予定している来年末から前倒しすることについて、議論を求め始めている。

ブルーベイ・アセット・マネジメントのシニア・ポートフォリオ・マネジャー、カスパー・ヘンス氏は「利上げを見送る場合、タカ派がバランスシートの縮小を早めたいと考えるリスクがある。これは周縁国(イタリアなどの高債務国)にとって痛みを伴う措置になる」と述べた。  

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