骨太方針、構造的賃上げが鍵 首相「新たなステージに歩み進める」=諮問会議
ロイター / 2024年6月11日 18時45分
6月11日、 政府は開いた経済財政諮問会議で「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)を議論、岸田文雄首相(写真)は「今こそ新たなステージに向けて歩みを進める時」と訴えるとともに、物価上昇を上回る持続的・構造的賃上げがカギになると強調した。首相官邸で10日代表撮影(2024年 ロイター)
Kentaro Sugiyama
[東京 11日 ロイター] - 政府は11日に開いた経済財政諮問会議で「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)を議論、岸田文雄首相は「今こそ新たなステージに向けて歩みを進める時」と訴えるとともに、物価上昇を上回る持続的・構造的賃上げがカギになると強調した。
原案は、1)成長型の新たな経済ステージへの移行、2)社会課題への対応を通じた持続的な経済成長の実現、3)中期的に持続可能な経済社会の実現、4)当面の経済財政運営と次年度予算編成に向けた考え方──が柱。デフレから完全に脱却し、岸田政権が進めてきた「成長と分配の好循環」や「賃金と物価の好循環」の完成を目指すものとなっている。
当面の経済政策にあたり、まずは春闘の力強い賃上げの流れを中小企業や小規模事業者、地方に波及させるとともに、医療・介護など公的価格に基づく賃金の引き上げ、最低賃金の引き上げを実行。その上で、定額減税によって家計所得の伸びが物価上昇を上回る状況を確実に作り、来年以降に物価上昇を上回る賃金上昇が定着することを目指す。労働市場改革や国内投資拡大を通じて潜在成長率の引き上げにも取り組む。
マイナス金利政策やイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)などの解除によって金融政策が「新しい段階に入った」日銀に対しては、経済・物価・金融情勢に応じて適切な政策運営を行うことにより、「賃金と物価の好循環を確認しつつ、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する」とした。
岸田首相が策定を指示した経済・財政新生計画は、中期的に持続可能な経済社会の実現に向けた取り組みとして骨太に反映する。人口減少が本格化する2030年度までを対象期間とするもので、計画期間の当初3年間(25年度─27年度)に集中して改革を講じる。
財政面では、25年度の国・地方を合わせたプライマリーバランス(基礎的財政収支、PB)黒字化を目指すとともに、進捗や成果を後戻りさせないよう計画期間を通じて経済成長や歳出改革の取り組みを継続する。債務残高対GDP比の安定的な引き下げも目指す。
岸田首相は「新生計画に基づき、経済・財政・社会保障を一体とした改革を進め、国民が豊かさと幸せを実感できる持続可能な経済社会を実現していく」と語った。
新たな骨太方針は与党などとの調整を経て最終案としてまとめられ、21日に閣議決定する。
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