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トランプ氏復帰に身構える国連、分担金や関与の縮小警戒

ロイター / 2024年11月11日 13時18分

 国連はトランプ次期米大統領(写真右)が分担金を減らしたり、さまざまな取り決めへの関与を縮小したりする事態に警戒感を強めている。ニューヨークの国連本部で2017年9月撮影(2024年 ロイター/Lucas Jackson)

Michelle Nichols

[国連 8日 ロイター] - 国連は、トランプ次期米大統領が分担金を減らしたり、さまざまな取り決めへの関与を縮小したりする事態に警戒感を強めている。

トランプ氏が大統領選で勝利したことについて、アジアのある外交官は「既視感と相応の恐怖があった。次期政権が一部の関係予算を削るとしても、幾つかの分野で国連とつながってくれるとの希望もある。結局、国連よりも大きく適切な国際的舞台などあるだろうか」と語り、恐れと期待が相半ばする心境を明かした。

国連が最も心配しているのは、米国が分担金の拠出を減額し、世界保健機関(WHO)や気候変動対策の枠組みであるパリ協定などから脱退してしまうことだ。

特に差し迫った不安は米国の分担金で、現在の拠出規模は中国をしのいで世界一。国連通常予算と平和維持活動予算に占める比率はそれぞれ22%と27%に上る。

トランプ氏は1期目の大統領就任に際しても、外交予算と対外援助予算の約3割強削減を提案。この中には国連の平和維持活動予算や国際機関向け拠出額の大幅カットが含まれていたが、米議会が反対して実現しなかった。

当時の国連報道官は、これらの提案が実行されれば、全ての必要不可欠な活動が継続できなくなると警告していた。

非政府組織、国際危機グループの国連担当ディレクターを務めるリチャード・ゴワン氏は「国連事務局はトランプ氏返り咲きに直面する可能性をこの1年ずっと認識し、水面下で米国の分担金削減にどう対処するか計画を練ってきている。だからグテレス(事務総長)と同氏のチームは全くの準備不足ではない。しかし彼らは来年がいつになく厳しい局面になるとも分かっている」と解説した。

トランプ氏は1期目の任期中、国連の運営資金における米国の負担が不公平なほど大きいと不満を漏らし、改革を要求。また米国は伝統的に国連への支払いが遅く、2021年にトランプ氏が大統領を退任した時点で、通常予算に約6億ドル、平和維持活動予算に20億ドルもの延滞が生じていた。

国連のデータによると、現在のバイデン政権も国連通常予算で9億9500万ドル、平和維持活動予算で8億6200万ドルの延滞金を抱えている。

グテレス氏の報道官は6日、記者団に「これから起きるか起きないか分からない政策についてあらかじめ言及したくないが、われわれはこれまでと同じように加盟国と協力して活動する」とコメントした。

国連に批判的で多国間主義にも後ろ向きだった1期目のトランプ氏は、WHOから脱退する方針を表明したほか、実際に国連人権理事会とユネスコ(国連教育科学文化機関)、パリ協定、イラン核合意から離脱した。

その後、バイデン政権はWHO脱退方針を撤回、ユネスコとパリ協定に復帰した。しかしトランプ陣営は、当選すればパリ協定を再び離脱すると宣言している。

グテレス氏は9月、ロイターに、米国がまたパリ協定から外れる展開に触れて「協定は生き残るとしても、恐らく深刻に土台が損なわれる」と懸念を示した。

米大統領選の結果が判明する前、欧州のある外交官は、トランプ氏が勝てば「中国にとって大きな朗報」になると指摘していた。トランプ氏1期目に中国が国連で影響力を強める機会が訪れたこと念頭に置いた発言で、再びトランプ氏が国連分担金を減らして国際協定から手を引けば、中国に多国間主義の最大の支援国とアピールするチャンスを与えるだけだとくぎを刺した。

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