焦点:訪中終えたイエレン氏、関税上げの是非を判断へ 過剰生産に警告
ロイター / 2024年4月11日 9時58分
イエレン米財務長官(中央)は4日間の広州・北京訪問を通じ、中国によるクリーンエネルギー商品生産能力への過剰投資は容認できないとする強い警告を発した。写真は北京で8日撮影(2024年 ロイター/Florence Lo)
David Lawder
[北京 10日 ロイター] - イエレン米財務長官は4日間の広州・北京訪問を通じ、中国によるクリーンエネルギー商品生産能力への過剰投資は容認できないとする強い警告を発した。
大変なのはこれからだ。米国の生産・労働者を保護するため、中国の電気自動車(EV)、ソーラーパネルといったクリーンエネ商品に対する関税引き上げに動くようバイデン米大統領に進言するかどうかを決めるのだ。
もう一つの選択肢は、この問題を巡る米中の新たな対話が他の解決策を生み出すまで時間稼ぎすることだ。
戦略国際問題研究所(ワシントン)の中国経済専門家、スコット・ケネディ氏は「この対話は交渉のためのものではないので、米国が何も行動を起こさないということはないと見ている。米政権は行動に備えて証拠を集め続けるだろう」と語る。
2023年7月の最初の訪中時とは異なり、イエレン氏は中国側との交流や紫禁城など歴史的旧跡を訪ねたりした。7日に行われた中国の李強首相との会談は予定されていた30分の3倍近くに及んだ。
在中国米商工会議所のショーン・スタイン会頭は「彼女(イエレン氏)は中国政府内で特に高い信頼を得ている。彼女は経済学に焦点を当て、冷静に物事を語る」と指摘する。
<「解決策なし」>
一方で、中国のグリーンエネ商品生産能力が国内の需要をはるかに上回り、赤字企業の安価な輸出品が世界市場に氾濫しているというイエレン氏の主張には、国営メディアや中国政府高官が反論。
中国の王文濤商務相は8日、このような主張には根拠がないとし、中国EVメーカーの成功は補助金ではなく技術革新によるものだと主張する。
中国政府のあるアドバイザーは匿名を条件に、過剰生産能力は米政府との間で議論のテーマだが「解決できるものではない」と明言。「過剰生産能力がなければ世界貿易は成り立たない」と訴えた。
アジアソサエティ政策研究所を率いる元米通商交渉官のウェンディ・カトラー氏は、今回の訪中と中国政府高官との関係深化はバイデン政権内の関税論議でイエレン氏の発言力を高めると指摘しつつ、米国内で反中感情が高まる中、米大統領選を控えた時期にイエレン氏が対話の時間を増やすことを主張するのは難しいだろうと述べた。
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