米政府、新型コロナ巡る会議を機密扱いに指定 対応の遅れ招く
ロイター / 2020年3月12日 9時20分
3月11日、米ホワイトハウスが、新型コロナウイルスに関する省庁間会議を機密扱いに指定したため内容が共有されず、新型コロナへの政府対応の遅れを招いた可能性がある。ホワイトハウスで撮影(2020年 ロイター/Tom Brenner)
[ワシントン 11日 ロイター] - 米ホワイトハウスが、新型コロナウイルスに関する厚生省の会議を機密扱いに指定したため、内容が共有されず、新型コロナへの政府対応の遅れを招いた可能性がある。政府当局者4人が明らかにした。
当局者によると、厚生省と同省関係機関による会議は省内で1月中旬以降、十数回にわたって行われたが、国家安全保障会議(NSC)から機密扱いを命じられたため、会議に欠かせない専門家らが機密指定になった情報を閲覧する資格(機密取扱資格、セキュリティー・クリアランス)を持たないとの理由で会議に参加できなかったほか、参加しても会議の内容を口外できなかったという。
厚生省の関係機関には、新型コロナウイルスの国内感染者数を日々公表している疾病対策センター(CDC)が含まれる。
当局者によると、厚生省の会議は「機密情報隔離施設(SCIF)」と呼ばれる情報漏洩対策が施されている部屋で行われた。SCIFは通常、情報収集や軍事作戦に関する会議に使われ、携帯電話やパソコンを持ち込むことが禁じられている。厚生省内にSCIFが設置されているのは、細菌戦争や化学兵器攻撃などで有用になると考えられているからだ。
会議にはアザー厚生長官や同氏の首席補佐官であるブライアン・ハリソン氏などが出席したという。関係筋によると、両氏は会議の機密指定に反対した。
1人の関係者は、検疫の難しい問題が取り上げられた際も、検疫に詳しい厚生省の上級弁護士が、機密を取り扱う資格がないとの理由で、参加を認められなかった。その後に開かれた通常会議でこの弁護士の意見がはじめて反映されたという。
別の関係筋は、機密取扱資格がない厚生省の事務方が、新型コロナの状況について情報を知らされないことがよくあったと語った。また、機密指定の理由は「中国と関係しているから」と聞かされていたと述べた。
NSCのジョン・ウリオット報道官は厚生省の会議に関する質問には回答しなかったが、全省庁に関して透明性は担保されており、新型コロナに関するタスクフォース(作業部会)の会議はすべて機密扱いではないと指摘。どの会議を指すのかは不明。
ウリオット氏は「新型コロナウイルス対策に着手したその日から、NSCは徹底的な透明性確保という原則を堅持してきた」と強調した。
また厚生省の報道官も作業部会の会議を機密扱いとしないことに合意していると述べた。
新型コロナ対策で指揮を執るペンス副大統領の報道官、ケイティ・ミラー氏は、ペンス氏は責任者に任命されて以来、厚生省に対してSCIFでの会議開催や情報の機密指定を要請したことは一度もないとコメントした。
*内容を追加しました。
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