政府、景気判断を下方修正へ 「緩やかな回復」の是非も議論=関係筋
ロイター / 2020年3月12日 17時24分
中川泉 竹本能文
[東京 12日 ロイター] - 政府は26日にも発表する3月月例経済報告で、景気判断を下方修正する検討に入った。複数の政府関係者によると、新型コロナウィルスの経済的影響が相当大きいと判断、従来の「緩やかに回復している」という表現を削除して別の表現とするか、あるいは表現を残して弱めるかたちとするか、検討中だ。
2月の月例経済報告での景気判断は「輸出が弱含むなかで、製造業を中心に弱さが一段と増した状態が続いているものの、 緩やかに回復している」だった。
政府は昨年、景気の基調判断を幾度か下方修正したが、その際にも、18年1月からの「緩やかに回復している」との表現を残してきた。アベノミクスが奏功してきた証でもあるこの表現を削除するか残すかは、政権内でもまだ温度差がある。
需要項目については、消費、設備投資、企業収益がいずれも下方修正となりそうだ。消費は、政府による自粛要請もあり、サービス消費の減退が顕著だ。設備投資も慎重化は避けられないとの判断。製造業、非製造業いずれも売り上げの減少が顕著となっている業種があり、企業の業績は悪化している。
経済官庁幹部は「コロナウイルスの影響は相当に大きい」とみている。西村康稔経済財政担当相も9日の参議院予算委員会で、「(景気は)急速に厳しい状況になっている」との認識を示している。
当初、国民への自粛呼びかけはおおむね3月半ばをめどとしていたため、政府内には、そのあたりで感染が峠を越えたといえるような状況であれば、景気も大きく崩れることはないとの見方もあった。
しかし、感染拡大のピークアウトはいまだ見えず、安倍首相は10日にイベント自粛を今後10日間程度延長するよう要請、3月下旬まで自粛の影響が続く。こうした動きが長期化するほど傷みは広がるため、ここで景気判断を下方修正することで、経済対策も大胆に打ち出すことができるはず、といった声も政府内では浮上している。
(編集:石田仁志)
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