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情報BOX:米選挙、再集計で結果が変わることはあるのか

ロイター / 2020年11月12日 15時55分

11月10日、トランプ米大統領は大統領選で、票の再集計によってバイデン前副大統領の勝利を阻めたらと期待している。写真はミシガン州デトロイトの開票所で3日撮影(2020年 ロイター/Rebecca Cook)

[ワシントン 10日 ロイター] - トランプ米大統領は大統領選で、票の再集計によってバイデン前副大統領の勝利を阻めたらと期待している。米国の選挙では再集計は日常茶飯事だ。特に州や地方政府レベルの選挙でよく行われるが、結果が覆った例は過去20年間で3件だけで、大統領選では1度もない。

再集計の仕組みと、過去の結果をまとめた。

◎再集計とは

再集計になると、当局は票の集計手続きをもう一度行う。米国の選挙全般では比較的おなじみの光景だが、大統領選では珍しい。

ウィリアム&メアリー法科大学院のレベッカ・グリーン教授は「再集計は日常茶飯事、ごく普通のことだ」と言う。教授によると、再集計では通常、最初の集計が相当に正確だったことが示される。ただ、最初と比べて小さな食い違いは出ることがあるが、それはしばしば、手書きされた投票用紙の判定などの問題で判断が分かれることが原因だ。

州ごとに再集計の取り扱いは異なるが、票を数え直すことになるのがほとんどだ。

ジョージア州では今回、99%開票段階でバイデン氏の得票率が49.5%、トランプ氏が49.3%で、バイデン氏が約1万2000票差で優勢だ。

今回、同州で投票所に出向いた有権者は、タッチスクリーン式の新たな投票システムを使った。このシステムでは、入力すると紙の投票用紙が排出される。これをスキャナーに読み込ませて集計する。不在者投票でも同じ投票用紙が使われ、同様のスキャナーを通った。

有権者がどの候補を選んだのか機械が判定できない場合には、超党派の選挙管理当局者らのグループが投票用紙を再点検し、有効票とするか、集計するならどう集計するかを決定。トランプ氏が再集計を求めた場合、ジョージア州の当局者はこうした作業を繰り返すことになる。

これとは別にトランプ氏陣営は、物故者や他州に転出した人々の票が集計されている証拠を見つけたと、根拠をほとんど示さずに主張している。トランプ氏陣営はまた、自陣営のボランティアが綿密な集計の点検を求めたが、阻まれたとも、さほど根拠を示さずに主張している。再集計はこうした問題には対処しないため、別の法的手続きで戦うしかない。

再集計手続きには数週間かかってもおかしくないが、一部の州は作業を終わりにする期限を設けている。

◎トランプ氏は再集計させることが可能か

すべての州は、再集計を行う基準を各々で定めている。極めて接戦になった時には再集計を義務化している州もある。バイデン氏勝利の鍵を握った州の1つ、ペンシルベニア州では勝利候補と次点候補の得票差が0.5%未満だった場合、再集計が義務付けられている。10日の米東部時間正午(1700GMT)時点で開票済みの約680万票において、バイデン氏はトランプ氏に約0.67%の差をつけている。また、各選挙区の有権者が個別に、郡に対して再集計を請願することも可能で、これについては再集計をする基準が法律では定められていない。

ジョージア州やウィスコンシン州などの州では、一定の基準があって、それを超えると自動的に再集計の義務が生じるというわけではないが、負けている候補が特定の条件下で再集計を強いることはできる。ジョージア州の条件は得票差が0.5%未満、ウィスコンシン州は1%未満の場合だ。10日の米東部時間正午、バイデン氏は両州でトランプ氏をリードしているが、票差は非常に小さく、情勢によってはトランプ氏陣営が再集計を求めることは可能になる。

通常、候補者は州が最終の集計結果を認証してからこうした要請を行う。

◎結果は変わるのか

再集計によって選挙結果が覆るのはまれだ。これまでに覆ったのは、上位2候補の票差がわずか数百票のケースだった。

超党派グループ「フェア・ボート」が昨年行った研究によると、2000年から19年にかけて各州が実施した州全体規模での何らかの再集計は31件で、結果が覆ったのはうち3件にとどまった。うち2件は、04年のワシントン州の州知事選と、06年のバーモント州の州監査役選だった。

08年にはミネソタ州の米連邦議会上院選で再集計が行われ、結果が覆った。ただ、法的手続きに時間がかかったため、その上院議員ポストは6カ月間空白が続いた。

再集計ではむしろ、当初の勝者がわずかに票数を伸ばすことの方が多い。フェア・ボートによると、再集計による変化は平均0.0024%。トランプ氏が僅差で負けている激戦州で、バイデン氏の勝利を覆すのに必要な変化よりずっと小さい。

トランプ氏陣営が現在、再集計を求めるとしているウィスコンシン州では、16年の大統領選で再集計が行われた。得票率約1%の緑の党の候補が再集計を求めたためで、結果としてトランプ氏の得票がさらに131票増えた。

ウィスコンシン州では現在、バイデン氏がトランプ氏に2万票以上の差をつけてリードしている。同州のスコット・ウォーカー前知事(共和党)は先週、トランプ氏が結果を覆すのは「非常にハードルが高い」と釘を刺した。

大統領選の再集計で最も有名なのは、00年のフロリダ州の事例だ。ジョージ・W・ブッシュ(子)元大統領がアル・ゴア候補に1784票差で勝っており、再集計次第でどちらが大統領になるかが決まることになった。再集計と、連邦最高裁まで持ち込まれた法廷闘争の末、フロリダ州はブッシュ氏が537票差で勝利したと宣言した。

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