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政府、福島原発処理水の海洋放出を決定 2年後めどに開始

ロイター / 2021年4月13日 8時28分

 4月13日、政府は13日、「廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚会議」を開き、福島第1原子力発電所にたまり続ける多核種除去設備(ALPS)処理水を海洋放出することを決めた。原子力規制委員会の許可を経て、東京電力ホールディングスが2年程度後に放出を開始する。写真は福島第1原発の処理水貯蔵タンク。2019年2月撮影(2021年 ロイター/Issei Kato)

[東京 13日 ロイター] - 政府は13日、「廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚会議」を開き、福島第1原子力発電所にたまり続ける多核種除去設備(ALPS)処理水を海洋放出することを決めた。原子力規制委員会の許可を経て、東京電力ホールディングスが2年程度後に放出を開始する。懸案となっている風評被害対策としては、モニタリングの強化や情報公開の徹底などを行う方針。

東京電力は海洋放出を開始するために、放出設備の設置などの準備を進める。処理水をためているタンクは22年秋ごろにもいっぱいになるため、ぎりぎりのタイミングでの決定となった。今後は、廃炉作業を進めるためにタンクを減らすことも必要となる。

福島第1原発は2011年に発生した東日本大震災に伴う津波により損傷、高濃度の放射性物質に汚染された水が発生している。東電は、ALPSを使って「汚染水」から大部分の放射性物質を取り除いているが、除去できないトリチウムは残っている。現在、処理水は約125万トンに上る。

海洋放出は、処理水を大幅に希釈した上で実施する。また、放出するトリチウムの年間総量は、事故前の福島第1原発の放出管理量(年間22兆ベクレル)を下回る水準になるように行う、としている。タンクに保管している水のトリチウム濃度は、1リットル当たり約15万―約250万ベクレル。放出期間は30―40年としている廃炉期間内で相当程度の時間が掛かると想定している。

<風評被害対策>

海洋放出に当たっては「東電が風評影響の発生を最大限回避する責任が生じる」と記した。政府は、安全性についての情報発信強化などで影響を受け得る事業者の理解を深める取り組みを行う。また、水産物の放射性物質のモニタリングを実施し、随時公表。海外に対しても、国際原子力機関(IAEA)などの協力を得て、情報公開を徹底する方針。

ただ、海洋放出には、地元の漁業関係者らの強い反対がある。菅義偉首相は7日、全国漁業協同組合連合会(全漁連)の岸宏会長らと面会したが、席上、岸会長は海洋放出について「反対の考えはいささかも変わらない」と伝えている。

今後、地元の関係者とも意見交換を続け、風評対策の追加や見直しを行う中で、理解を得ていくことになる。

仮に風評被害の発生が確認された場合には、現在の賠償の枠組みにより機動的に対応することになる。今後、「ALPS処理水の処分に関する基本方針の着実な実行に向けた関係閣僚等会議」を設置し、追加対策の必要性を検討し、それを機動的に実施するとした。

(清水律子)

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