米財務長官、EUに国際法人課税の支持要請 追加財政支援検討を
ロイター / 2021年7月13日 0時3分
イエレン長官はユーロ圏財務相会合(ユーログループ)向けの演説で、労働者の賃金への一段の課税に依存せず、経済格差を悪化させない「持続可能な財源が必要だ」と語った。写真はイエレン長官。1日撮影(2021年 ロイター/Evelyn Hockstein)
[ブリュッセル 12日 ロイター] - イエレン米財務長官は12日、欧州連合(EU)に対し、国際法人課税の新ルールを支持するとともに、新型コロナウイルス禍を巡る先行きの不確実性に対応するため財政支援策を維持し、追加の財政措置を検討するよう促した。
イエレン長官はユーロ圏財務相会合(ユーログループ)向けの演説で、労働者の賃金への一段の課税に依存せず、経済格差を悪化させない「持続可能な財源が必要だ」と語った。
「先行きを巡りかなりの不確実性が残っていることでわれわれは一致している」との考えを示した上で、「2022年にかけて支援的な財政スタンスを維持することが重要だ」と強調し、EU加盟国は追加財政措置を巡り「真剣に検討すべき」と呼び掛けた。
さらに「企業が資本所得を低税率の国・地域に移し、公正な税負担を回避する会計上のからくりに終止符を打つ必要がある」とし、底辺への競争(税率切り下げ競争)を終結させなくてはならないと改めて強調した。
主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は10日、世界的に企業への課税を強化するため、法人税率を最低15%以上にすることで合意し、経済協力開発機構(OECD)による7月1日の大筋合意を追認した。10月にローマで開くG20首脳会議で最終合意を目指す。
しかし、EU加盟国ではアイルランドやハンガリーなどが合意に加わっていない。
アイルランドのドナフー財務相は記者団に対し、国際課税を巡り留保する構えを維持しつつも、「アイルランドがプロセスに引き続き強くコミットしており、OECDに建設的に関与していく意向をイエレン長官に明示した」と語った。
また、欧州委員会は12日、国際法人課税の新ルール成立に注力するため、新たなデジタル課税の導入を先送りすると表明。改めて秋に状況を精査するとの考えを示した。
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