1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

軍事クーデターから50年迎えたチリ、政治的分断なお解消されず

ロイター / 2023年9月12日 13時43分

 9月11日、大統領宮殿では50年前のクーデター発生時刻に合わせて軍政による犠牲者への黙とうをささげる行事が行われた。サンティアゴで撮影(2023年 ロイター/Carlos Barria)

Natalia A. Ramos Miranda

[サンティアゴ 11日 ロイター] - ちょうど50年前の1973年9月11日、チリでは陸海空軍と警察がクーデターを起こしてサルバドル・アジェンデ大統領の左派政権を打倒し、世界に衝撃を与えた。その後20年にわたる軍政が始まり、多数の人々が弾圧によって殺害される事態に発展した。

クーデターの指導者アウグスト・ピノチェトは、1980年代にかけて大半の南米諸国で誕生した親米右派の独裁者の先駆け的な存在。チリに市場経済モデルを根付かせた半面、数多くの逮捕や拷問、失踪事件を起こした時代の指導者として特徴付けられている。

そして大統領宮殿では11日、クーデター発生時刻に合わせて軍政による犠牲者への黙とうをささげる行事が実施された。

ボリッチ大統領は「痛ましく、また間違いなくわが国の歴史の転機になった日をわれわれは追悼する。クーデターはその後に続いた出来事と不可分だ。クーデターの瞬間から人権が侵害されたのだ」と語った。

ただそれから半世紀を経た今も、チリでは左右両派の政治的分断は解消されていない。軍政の犠牲者と遺族らは、政治的公正や説明責任を求める声を強めているが、国内で犯罪増加への懸念が広がる中で、右派勢力は着々と地歩を伸ばしつつある。

軍事クーデターの記憶を新たにするための大がかりなイベントを提唱してきたボリッチ氏に対しては、一部の政治家や有権者が反発。最近の世論調査では、国民の60%が過去のクーデターに関心がないと答え、約4割はクーデターが起きたのは当時のアジェンデ政権に大半の責任があるとの見方を示した。

アジェンデ政権が試みた過激な改革が混乱を招いた面があるのは確かで、保守派からはピノチェト政権になってチリは中南米でも屈指の政治的安定性と経済的な成功、治安の良さを確保できたとの主張が聞かれる。

2019年には格差拡大に抗議する反政府デモが活発化し、ピノチェト政権下で制定された憲法を制定し直す取り組みが進められた。しかし昨年の国民投票ではこうした新憲法草案が反対多数で否決され、左派勢力にとって大きな痛手となった。

現在のチリについて専門家の1人は「民政復帰以降で最も両極化が激しくなっている」と指摘した。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください