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焦点:電気も水も逃げ場もない、絶望の淵に立つガザ

ロイター / 2023年10月12日 17時53分

 イスラム組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザは、イスラエルによる報復攻撃で230万人の住民のほとんどが電気も水も手に入らない状況に置かれた。この狭い区域がイスラエルによる何百回もの空爆を受け、逃げ場を失った住民は絶望の淵に立たされている。写真はイスラエルの空爆で妊娠中の妻と複数の親族を失った、負傷したパレスチナ人の男性。ガザの病院で11日撮影(2023年 ロイター/Mohammed Salem)

Nidal al-Mughrabi

[ガザ 12日 ロイター] - イスラム組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザは、イスラエルによる報復攻撃で230万人の住民のほとんどが電気も水も手に入らない状況に置かれた。この狭い区域がイスラエルによる何百回もの空爆を受け、逃げ場を失った住民は絶望の淵に立たされている。

地球上で最も人口密度の高い場所の1つであるガザは、ハマスによる7日のイスラエル襲撃以降、ほぼ絶え間ない報復攻撃にさらされ、双方の死者数はいずれも1000人を超えた。

ガザ唯一の発電所は数日間断続的に稼動していたが、11日に燃料が切れて停止。電力がなければ住宅への給水は不可能だ。夜はほぼ暗闇の状態で、爆発の火花や懐中電灯代わりの携帯電話の明かりがときどき光る。

「これまでにあらゆる戦争や侵攻を経験したが、これほどひどい戦いは見たことがない」と話すヤメン・ハマドさん(35)は4児の父親。ガザ北部の町ベイトハヌーンの自宅がイスラエルの攻撃で破壊された。

ガザ南部のカーンユーニスの病院は冷蔵保管庫に空きがなかったり、電源がなかったりして、遺体を床に並べていた。遺体安置所の外には親族や友人が列をなしている。弔問客は季節外れの気温上昇で遺体が傷むのを心配し、早く埋葬しようと必死だった。

ロイターはガザの住民30人余りにインタビューしたが、そのほとんどがハマドさんと同じ心情だった。これまで見たこともないようなひどい暴力を前に恐怖と絶望を口にした。

エジプトとの唯一の境界はエジプト当局によって封鎖され、人々は窮地に陥った。イスラエルの報復により、地上戦も含めて最悪の事態がこれからも続くのではないかと恐れている。

<被害は過去最大級>

イスラエルのガラント国防相はガザでの軍事作戦を強化すると言明し、11日にはハマスを「地上から消し去る」と述べた。

イスラエルとの境界に近いベイトハヌーンはイスラエルによる報復攻撃で最初に大きな打撃を受けた場所のひとつ。ハマスや地元住民によると多くの道路や建物が破壊され、数千人が避難した。

しかし、アラ・アル・カファルネさん(31)の一家は逃げ切れなかった。妊娠中の妻、父親、兄弟、いとこ、義理の両親とともに7日に町を脱出。海岸沿いの難民キャンプに車で向かったが、そこも空爆の標的となったため、さらに東のシェイクラドワンに移った。10日夜に一家が避難していた建物が空爆され、彼以外の全員が亡くなった。「危険から逃れようとして死に向かってしまった」と話すカファネルさんは頭部に切り傷を負い、腕にギプスをはめていた。

病院の外には毛布や段ボールで寝ている人もいれば、裸のまま地面に転がっている人もいる。病院内の少ないトイレを利用するために長蛇の列ができていた。国連によるとガザでは7日以来、17万5000人余りが自宅から避難した。

ガザの赤十字国際委員会の報道官、ヒシャム・ムハンナ氏は「今回の民間人の犠牲は過去最大だ」と述べた。

別の病院で働く「国境なき医師団」のモハマド・アブ・ムガシーブ氏によると、医療物資は何年も前から不足している。イスラエルによる包囲が強化されて医療物資の在庫は急速に減っており、数週間で底をつく見通しだ。「この状態が数日続けば医療システムは崩壊する」と言う。

電気がないためガザ地区では給水がほぼ止まっている。ガザの保健当局は、発電機に頼っている病院などの医療施設は数日以内に停電状態に陥る見通しだと明かした。汚水処理施設も止まり、地区全体で廃棄物が増え、病気が蔓延する恐れがあると憂慮する。

<ビルが倒壊>

夜が明けると新たな破壊の傷跡が浮かび上がる。幾つかの地区は空爆で丸ごと破壊された。空爆で道路が寸断され、民間の防衛隊は空爆現場にたどり着けないことが多く、地元の住民は自分たちで瓦礫を運び出さなければならない。ザイトゥーンでは男性2人が携帯電話の明かりを頼りに破壊された集合住宅を捜索し、生存者を救出して遺体を運び出していた。

国連の学校は、自宅から避難してきた住民の主な避難場所となっている。ある家族は教室に詰め込まれ、ある家族はマットレスの上で、またある家族は毛布の上で眠っている。

ガザシティーの学校では爆音におびえる子どもたちや親が眠らずにいた。多くの人々がコンクリートの建物を焼くような空爆でがれきに埋もれてしまうことを恐れ、屋外に座り込んでいた。

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