国内企業物価5月は前年比2.4%に伸び加速、電気代や銅市況上昇で
ロイター / 2024年6月12日 11時16分
Kentaro Sugiyama
[東京 12日 ロイター] - 日銀が12日発表した5月の企業物価指数(CGPI)速報によると、国内企業物価指数は122.2となり、前年比2.4%上昇した。指数は比較可能な1980年以降で最高水準。電力料金や国際商品市況の上昇などにより、伸び率は4月(1.1%)から大幅に拡大し2023年8月(3.4%)以来の大きさとなった。前年比プラスは39カ月連続。
前年比で最も押し上げに寄与したのは非鉄金属で、20.7%上昇した。供給減少観測、中国需要や脱炭素需要の増加期待などが意識され、銅の国際市況が上昇。これに伴い、プラスチック被覆銅線なども値上がりした。
「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の単価引き上げによる事業用電力の値上がりも、押し上げ要因になった。
石油・石炭製品は6.8%、飲食料品も3.1%上昇した。
国内企業物価指数の前月比は0.7%上昇。このうち再エネ賦課金の単価引き上げの影響が約0.4%ポイントの押し上げに寄与した。
全515品目中、前年比で上昇したのは394品目、下落は103品目。4月は年度初めということで川中・川下製品でこれまでのコスト上昇分を価格転嫁する動きがみられたが、今回はその翌月ということもあり、「川下での価格改定はあまりみられなかった」(日銀の担当者)という。
輸入物価は円ベースで前年比6.9%上昇、4カ月連続でプラスとなった。上昇幅は4月(プラス6.6%)から拡大し、23年3月(プラス9.4%)以来の大きさとなった。
大和証券のエコノミスト、鈴木雄大郎氏は「6月以降は、電気・ガス価格激変緩和対策事業の終了に伴って電力価格の一段の上昇が見込まれる。今後は事業用電力価格の上昇によってコストプッシュ型のインフレ圧力は再び強含むだろう」と指摘。原材料価格の上昇と円安がスパイラル的に輸入物価を押し上げることになるため、注意が必要だとしている。
*日銀の発表資料は以下のURLでご覧になれます。
http://www.boj.or.jp/statistics/pi/cgpi_release/
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