中国新規銀行融資、6月は急増も予想届かず M2伸び率過去最低
ロイター / 2024年7月12日 20時42分
7月12日、中国人民銀行(中央銀行)のデータをもとにロイターが算出した6月の新規人民元建て銀行融資は2兆1300億元(2935億5000万ドル)と、前月の2倍以上に増加したが、アナリスト予想には届かなかった。写真は北京の中国人民銀。2022年9月撮影(2024年 ロイター/Tingshu Wang)
[北京 12日 ロイター] - 6月の新規人民元建て銀行融資は2兆1300億元(2935億5000万ドル)と、前月の2倍以上に増加したが、アナリスト予想には届かなかった。
前年同月の3兆0500億元も下回った。ロイター調査によるアナリスト予想は2兆2500億元、5月実績は9500億元だった。
中国人民銀行(中央銀行)が公表したのは1─6月の統計で、6月単月のデータはロイターが算出した。1─6月の新規融資は13兆2700億元。
人民銀は先月、景気刺激的な金融政策スタンスを堅持すると表明したが、マネーサプライM2伸び率など複数の主要指標が過去最低を更新した。長引く不動産危機が投資を抑制し、消費者心理を悪化させる中、中国の需要の弱さへの懸念に拍車がかかっている。
6月のマネーサプライM2の前年比伸び率は過去最低の6.2%と、アナリスト予想の6.8%を下回った。5月の7.0%から急低下した。
6月末時点の元建て融資残高も前年比8.8%増と、5月の9.3%から伸びが鈍化し、過去最低を記録。市場予想は9.0%増だった。
6月の家計向け融資は5709億元で、5月の757億元から急増した。
6月の社会融資総量残高は前年比8.1%増と、こちらも伸びが過去最低に鈍化。5月は8.4%増だった。
社会融資総量は、通常の銀行融資に加え、新規株式公開、信託会社の融資、債券発行などを含む広義の与信・流動性を示す。
人民銀の潘功勝総裁は先月、中国で信用の伸びが鈍化しているのは自然だと発言、背景には経済の変化のほか、不動産部門や地方政府向けの融資減少があると指摘した。
国泰君安国際のエコノミスト、Zhou Hao氏は「新規融資も社会融資総量も予想に届かず、借り入れ需要は相変わらず弱いことを示した。不動産市場の心理改善には追加の緩和が必要だとみられる」と述べた。
大手国有銀行の融資担当者によると、借り入れを申請してくるのは主に国有企業や政府が融資を奨励しているセクターで実質的なローン需要は依然弱いという。同担当者は、景気減速局面で銀行に貸出拡大を求めるのは、その場しのぎの措置に過ぎず、今後数年で不良債権が増えるリスクをはらむと述べた。
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