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アングル:介入にレートチェック、円安阻止へ総動員か 投機の円売りは当面休止

ロイター / 2024年7月12日 20時18分

日本政府・日銀が4月下旬―5月初めに続いて再び、為替市場で円買い・ドル売り介入を実施して、物価高につながる円安是正に乗り出したとの見方が広がっている。資料写真、2022年7月撮影(2024年 ロイター/Dado Ruvic)

Shinji Kitamura

[東京 12日 ロイター] - 日本政府・日銀が4月下旬―5月初めに続いて再び、為替市場で円買い・ドル売り介入を実施して、物価高につながる円安是正に乗り出したとの見方が広がっている。今回も4円を超える円急騰をもたらし、ユーロに対するレートチェックの報道も加わり、当局の姿勢の強さが改めて意識されている。歴史的な安値水準にある円売りを短期的に抑える効果がありそうだ。

<ドル半日で4円下落、大荒れ相場>

日本時間の11日午後9時半過ぎ、米消費者物価指数(CPI)が事前予想のプラス0.1%に対し、前月比マイナス0.1%と2020年5月以来、約4年ぶりに低下したことが明らかになると、ドルは発表の数分後に161円半ばから160円半ばへ急落した。

ここ数カ月、CPI発表日の日中値幅は1円強だったため、ここまでの動きは多くの参加者にとってサプライズではなかった。

問題はその後で、再びドルがじり高で161円台をうかがう動きとなりかけた途端、午後9時40分頃から大きな売りが出始めて、数分後には158円前半まで下落。午後10時過ぎには157.40円まで一段安となった。

この時点では、この下げが介入によるものだったのか、ドル急落のあおりを受けた円売りの大規模な巻き戻しだったのかはコンセンサスが得られていなかった。ただ、日銀が12日夕に公表した16日の当座預金予想が民間予測から3兆円超乖離(かいり)しており、現時点では、同規模の介入が行われた可能性が示唆されたと受け止められている。

円の急騰はこれにとどまらなかった。前日NY市場の終盤にかけてドルは急落後の安値から2円切り返し、159円前半まで値を戻していたが、午前8時半頃に再び突然下落し始め、数分間で157円後半まで1.7円急落した。

半日間で2度目の急落はその後収束し、10分後にドルは159円前半へ値を戻したが、その後の日中は158円後半から159円前半で、ほぼ横ばいとなった。

市場関係者の間からは、円相場は「動きが強烈過ぎて、とても手が出せない」(FX会社幹部)との声が漏れた。

<米CPIマイナス転化の衝撃、大規模な円売り反転か>

突発的な円高が再び発生したことで、市場では歴史的な円安局面はしばらく小康状態に入るとの見方が優勢となっている。

介入観測が強まっていることに加えて、投機の円売りが過去最大水準へ積み上がっており、きっかけさえあれば、大規模な買い戻しがいつ発生してもおかしくない状況だからだ。

米商品先物取引委員会(CFTC)がまとめたIMM通貨先物の非商業部門の取組状況によると、直近の投機筋の円売りは、円安ブームだった2007年に記録した過去最大に匹敵する水準まで膨らんでおり、円はこれまでに、対ユーロとスイスフランで史上最安値を更新したほか、対米ドルとNZドルで38年ぶり、対豪ドルで33年ぶり、対英ポンドで16年ぶり安値を付けていた。

米CPIマイナス転化の衝撃も、参加者に投資戦略の転換を迫る可能性があるという。

「米国のソフトランディング・シナリオが崩れ始めている。利下げは景気を下支えすると楽観的だった米国株も前日は下落しており、米景気減速をにらんだ資産配分へ変更が始まったかもしれない」(りそなホールディングス・シニアストラテジストの井口慶一氏)という。

一部で報道のあったレートチェックに関しても、当局の姿勢の強さを表すと警戒感も出ている。ただ、「規制強化で情報が広まりにくくなった現在の市場で、実弾投下を伴わないレートチェックはもはや、口先介入かそれ以下の効果しか持たない」(大手金融機関幹部)との指摘も聞かれた。

それでも当局の動向に関する思惑がくすぶる限り、多くの参加者は当面、円売りに慎重にならざるを得ない。今月末に公表される介入実績が改めて注目を集めている。

(基太村真司 編集:橋本浩)

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