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ソフトバンクG、前期は過去最大の赤字 孫会長「守りの時」

ロイター / 2022年5月12日 19時56分

 5月12日、ソフトバンクグループが発表した2022年3月期(国際会計基準)業績は1兆7080億円の当期損失で、最終赤字に転落した。写真は都内で2021年2月撮影(2022年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 12日 ロイター] - ソフトバンクグループが12日に発表した2022年3月期(国際会計基準)業績は、当期損失が1兆7080億円と過去最大の赤字を計上した。投資先企業の株価が大幅に下落した。孫正義会長は会見で「守りに徹するべき時」として、新規投資の縮小や手元現預金の確保などを進める考えを示した。

<回収資金で再投資、資金不足を回避>

世界の企業に投資するビジョンファンドは前期、3兆7388億円の投資損失を計上。韓国ネット通販大手クーパンで1兆6453億2700万円、中国配車サービスの滴滴出行(ディディ)で9114億1200万円など損失が相次いだ。

孫会長は、投資先企業の時価純資産(NAV)が18.5兆円と同社時価総額の2倍程度あること、保有株式に対する負債の比率(LTV)を20%台に抑えていること、手元現預金が2.9兆円と今後2年間の社債返済額の2倍以上あることなどを列挙。すでに「十分に安全運転をしている」と主張した。

さらに、前期の新規投資5.2兆円に対し、上場株などの資産売却で5.6兆円を調達したことも紹介。「回収資金で投資をまかなう循環システムが回り始めている」として、財務の健全性が維持できると訴えた。

<今期新規投資は半減、攻めは持ち駒で>

同社は今期の業績見通しを開示していないが、孫会長は新規投資について「厳格な基準を持って実行する」方針を表明。投資額は前期の「半分かそれ以下」になるとの見通しを示した。ビジョンファンドの前期投資承認額は、第1・四半期の209億ドルから第4・四半期には25億ドルまで減少した。

新規投資を圧縮しても、投資先企業は475社まで増え「これらが収穫期を迎えるので、それなりにいける(業績に寄与する)」という。1─2年後には株式市場の動揺が収まり「攻めのタイミングがくる」と見通した。

「新たなお金を使わず、持ち駒の中で攻めを進める」戦略として、傘下の英半導体設計大手アームに期待を寄せた。利益率の高い新商品の投入で、今来期は前期を「大きく上回る利益が出そうな手ごたえ」があるという。

米半導体大手エヌビディアへの売却がとん挫したアームは、株式上場を目指している。孫会長は「できるだけ早く」と述べるにとどめたが、市場環境がさらに悪化するなどした際は、時期を半年程度ずらす可能性もあるとした。

<ツイッター買収には参戦せず>

質疑では、米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が、米ツイッター買収を決めたことに対する見解も問われた。孫会長はマスク氏を「最も尊敬する起業家のひとり。奇想天外な手でツイッターを飛躍させるのではないか」と応じたが、ソフトバンクGがツイッター株の投資に直接かかわることは考えていないと話した。

ロシア・ウクライナ情勢に関しては、今年3月末時点で現地企業へ直接投資は行っていない。ビジョンファンド1にロシアの投資家も含まれていないという。同社の公表資料では「一部のグループ会社や投資先がロシア、ウクライナで事業を行ったり、ロシア企業と取引を行ったりしている」ものの、連結財務諸表に与える影響は限定的だとしている。

(基太村真司 編集:田中志保、橋本浩)

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