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焦点:アフガン撤退決断したバイデン米大統領、不信感が背景

ロイター / 2021年7月13日 17時56分

7月9日、 バイデン米大統領(写真)がアフガニスタン駐留米軍の早期撤退を進める裏には、10年以上前からくすぶり続けるアフガンへの不信感があった。ホワイトハウスで8日撮影(2021年 ロイター/Evelyn Hockstein)

[ワシントン 9日 ロイター] - バイデン米大統領がアフガニスタン駐留米軍の早期撤退を進める裏には、10年以上前からくすぶり続けるアフガンへの不信感があった。

2009年1月、オバマ政権の副大統領に就任する直前のバイデン氏はアフガンの首都・カブールを訪問。夕食の席で当時のカルザイ大統領に対し、アフガン市民全員のための統治に着手しない限り、米政府の支援を失いかねないと警告した。

カルザイ氏は、米国はアフガン市民の死に無関心だと応酬。論争が進む中、バイデン氏はナプキンを放り捨て、夕食は突然打ち切られた。その場にいた数人が証言している。

米国が反政府武装勢力・タリバンの政権を打倒した後、バイデン氏はアフガン再建のための強い軍事・人道支援を支持していた時期があった。タリバンは、2001年9月11日の米同時多発攻撃を首謀した国際テロ組織・アルカイダの元指導者、ウサマ・ビンラディン容疑者を支援しており、米国の攻撃はそれに対する報復だった。

しかし、2009年のアフガン訪問で不快な経験をしたバイデン氏は、アフガン戦争は米国を泥沼に陥れ、勝利は不可能かもしれない、との思いを抱くようになる。

帰国したバイデン氏は、大統領就任直前のオバマ氏に対し、アフガンに増派すべき時ではないと強く警告した。

2009年のアフガン訪問でバイデン氏に同行した長年の元側近、ジョナー・ブランク氏は「あれは単なる短気ではなかった。彼の中で楽観的な気持ちは、年を追うごとに失われていった」と語る。

しかし、バイデン氏はこの政策論争で敗れ、オバマ氏は最終的に増派を命じて2017年の任期いっぱいまで戦争を延期した。

大統領の座に就いたバイデン氏は現在、一部の軍事専門家や民主・共和両党の議員、人道専門家の反対を押し切って、アフガン駐留米軍のほぼ全面的な撤退を進めている。

トランプ前大統領はタリバンとの間で、今年5月までの米軍全面撤退で合意していた。複数の関係筋によると、バイデン氏は、合意を破れば米軍へのさらなる攻撃を招き、戦争が長期化すると懸念した。

バイデン氏は8日、アフガンで新たな内戦が勃発する可能性を認めながらも、米軍撤退の決意を改めて示した。米国は外交・人道支援を続けるが、国の将来を決めるのはアフガン自体だと述べた。

4月にイプソスが実施した調査によると、米国民の過半数はバイデン氏の決定を支持している。ただ、米国がアフガンで目的を完遂したと答えた割合は28%にとどまり、43%は米軍が今撤退すればアルカイダを助けることになる、との見方を示した。

<タリバン側の保証なし>

タリバンが和平プロセスや民主的な選挙に携わったり、アルカイダと決別したりする保証がない中で米軍が撤退することに対し、一部の米政府高官を含む批判派は懸念を示している。

国防総省によると、撤退は90%完了した。タリバンはこれまで手を出さなかった地域にも攻撃を開始しており、8日時点でイランとの主要国境を制圧した。

2009年のアフガン訪問に同行したリンゼー・グラム上院議員(共和党)はこのほど、アルカイダがアフガンで再び台頭し、米国を再度攻撃するための土台作りをする恐れを指摘した。

民主党のジーン・シャヒーン上院議員は、アフガン情勢を「深く憂慮する」と述べた。

人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」幹部のヒーザー・バー氏は「大惨事だ。国が崩壊しつつあるも同然だ」と語った。

駐留米軍を今撤退させるのは、簡単な決断ではない。だが、バイデン氏は2009年の訪問で、アフガン政策が失敗すると確信した。

オバマ氏は昨年上梓した回顧録「約束の地」に、バイデン氏はこの時に見聞きしたことを通じて、戦略全体を再考する必要性を確信したと記している。

2011年に米軍がパキスタンでビンラディン容疑者を殺害したことは、オバマ氏にとっては大きな成果だったが、バイデン氏は作戦に懐疑的だった。ただ、殺害により、米国がこの地域に大規模な部隊を維持する理由は、また1つ取り除かれた。

オバマ政権で国防長官を務めたロバート・ゲーツ氏は、2014年の回顧録で「バイデン氏はプロセス全体を通じ、この戦争は内政的にみて持続不可能だと主張してきたし、今後も主張し続けるだろう」としている。

バイデン政権は、米国が和平交渉で財政支援の引き揚げをちらつかせることにより、タリバンに対していくらかの影響力を維持できることを望んでいる。

しかし、迅速な軍撤退はタリバンに行動の自由を与える恐れがある。ブリンケン国務長官は昨年の大統領選挙期間中、ロイターに対し、トランプ氏の失敗はタリバンから何も見返りを引き出さずに撤退に合意したことだ、と指摘していた。

民主・共和両党の議員や支援グループからも、バイデン氏の戦略が不十分だと懸念する声は上がっている。

共和党のマイク・ロジャース下院議員は、アフガン問題に関する計画について政権に質問するたびに「これからだ」との答えが帰ってくると説明。「こんなお粗末な決定では、米軍は近い将来アフガニスタンに戻らざるを得なくなるのではないか」と語った。

(Trevor Hunnicutt記者)

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