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焦点:FRBのインフレとの闘い、住居費が依然足かせ

ロイター / 2023年10月13日 14時30分

 12日発表の9月の米消費者物価指数(CPI)で住居費上昇が確認され、少なくとも単月では従来の傾向に逆行した。これを受けてFRB当局者らは、住宅関連の価格鈍化にブレーキがかかったという可能性を視野に入れ始めた。写真はワシントンで7月、賃貸・売りに出される住宅(2023年 ロイター/Sarah Silbiger)

Howard Schneider

[ワシントン 12日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)当局者らは年初来ずっと、急激な利上げに伴う住宅関連の価格鈍化もあってインフレ率が低下すると期待してきたし、これまでのデータはほぼその通りだった。

しかし、12日発表の9月の米消費者物価指数(CPI)で住居費上昇が確認され、少なくとも単月では従来の傾向に逆行した。これを受けてFRB当局者らは、住宅関連の価格鈍化にブレーキがかかったという可能性を視野に入れ始めた。

リアルタイムの家賃データは依然、公式の各種住宅価格指数が最終的に鈍化することを示しており、アナリストらの予想では住宅価格の右肩上がりは続きそうにない。

とは言え、住居費が上昇したことは、CPIの鈍化ペースを1カ月遅らせるのに十分だった。FRBが2%のインフレ目標達成に向けた進展に自信を持ち続けるには、住居費は下落基調に戻る必要があるだろう。9月のCPIコア上昇率は前年同月比4.1%と、8月の4.3%から縮小したが、住居費は8月の前月比0.3%から0.6%へと上げ幅が倍増した。

格付け会社フィッチ・レーティングスの米国地域経済担当責任者であるオルー・ソノラ氏は「大局的に見れば、住居費は依然鈍化の傾向にあり大変心強いが、闘いは続く。インフレ率が2%近くになるには今後数カ月間で住宅インフレが急激に低下する必要がある」と話した。

住宅市場の底堅さは幾分サプライズで、住宅価格や住宅着工許可件数、建設雇用者数の金利感応度は予想ほど高くはない。インフレ率がやがて目標水準に戻ると楽観視しているFRB当局者らも、この点をリスク要因として指摘し始めている。

FRBのパウエル議長は9月19、20両日の連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に記者会見し、「住宅セクターの活動は幾分持ち直した」と述べた。しかし、アパートや住宅の新規賃貸契約額は前年を下回るものが含まれ、最終的に住宅価格指数を全体的に抑えることになるとの見解を示した。

この時のFOMC議事要旨(11日公表)によると、住宅価格急騰がリスク要因として議論されていた。「複数の参加者が金利上昇にもかかわらず住宅需要は底堅く、新規住宅建築が堅調であることは販売可能な在庫が限られていることも反映している、と言及した」という。

住宅供給が限られているのは恐らく、新規に住宅を購入する際にローン金利が高くなるのを嫌がって住宅所有者が引っ越ししたがらないことが理由だ。住宅価格が上がり続けている要因のひとつとして、こうした供給の制約が考えられる。

9月の住居費上昇率は今年2月以来の高さだった。前年同月比では引き続き鈍化したものの、9月のCPI前月比上昇率の半分を住居費が占めた。

これだけでFRBが10月31日─11月1日に開催される次回FOMCで利上げを再開する可能性は低いものの、FOMCメンバーが利上げを選択肢として留保しておく理由にはなる。インフレ率が確実な低下軌道に乗っているのか疑問を抱かせる新たな要因となるからだ。

ネーションワイドのチーフエコノミスト、キャシー・ボスジャンチッチ氏は、住居費急騰によりサービス業のインフレ率全般が高止まりしているとし、次回FOMCで政策金利が据え置かれるとしても「FRBはタカ派のままだろうし、次々回以降で追加利上げを決める可能性は残るだろう」と話した。

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