英下院でルワンダへの移民移送法案可決、スナク政権はひとまず窮地脱出
ロイター / 2023年12月13日 9時31分
Andrew MacAskill Michael Holden Alistair Smout
[ロンドン 12日 ロイター] - 英議会下院で12日、入国した不法移民のルワンダへの強制移送を可能とするための法案が可決された。より厳格な移民規制を求める与党保守党の右派による造反の懸念が広がっていた中で、スナク首相にとっては否決により政権が大打撃を受ける事態はひとまず回避された形だ。
スナク氏はX(旧ツイッター)への投稿で「わが国に誰がやってくるのかを決めるのは犯罪組織でも外国の裁判所でもなく、英国民であるべきだ、というのがこの法律の趣旨だ」と述べた。
英政府は昨年、小型ボートで英仏海峡を渡る密入国者への対策として、不法移民を亡命希望者としてルワンダに受け入れてもらう取り決めを結んだ。
ところが英最高裁が先月、ルワンダへの強制移送は違法だと判断したため、スナク氏はルワンダとの間で移民を安全ではない第三国に送還しないよう保証することを柱とする新たな条約を締結。さらにルワンダを「安全な国」と定義して移送できるようにする法案を下院に提出した。
ただ保守党の右派は、この法案では不法移民の移送を阻止する目的で訴訟などの法的手段を行使された場合、十分に対抗できないと主張し、反発を強めていた。
法案は賛成313人、反対269人で承認。保守党議員350人は賛成票を投じるよう党議拘束がかけられたが、約40人は投票しなかったもよう。
採決直前に右派議員の1人は、右派グループ全体として法案に賛成するのを控え、投票を棄権することを決めたと明かしていた。
この議員は、昨年6月に欧州人権裁判所が移民移送の差し止め命令を下した事態を挙げて、そうした形で移送が阻止されない確実な仕組みが法案に盛り込まれない限り、今後の議会手続きにおいて反対姿勢を続けていくと強調。来年予定される総選挙を控え、野党労働党に支持率で大きく水をあけられている保守党が内部の足並みの乱れを解消する見通しは立たず、スナク氏も厳しい政権運営が続きそうだ。
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