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焦点:FRB、政治リスク回避か 利下げ「大統領選後」

ロイター / 2024年6月13日 19時1分

米連邦準備理事会(FRB)は11月の大統領選を控え、政治の矢面に立つリスクを回避したのかもしれない。写真はワシントンのFRB。2019年3月撮影(2024年 ロイター/Leah Millis)

[13日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は11月の大統領選を控え、政治の矢面に立つリスクを回避したのかもしれない。

連邦公開市場委員会(FOMC)が12日公表した最新の金利・経済見通しでは年内に1回の0.25%ポイントの利下げ実施が想定され、利下げ着手は12月になる可能性が示された。

今年3月時点では夏に利下げを開始し、11月5日の大統領選まで利下げを続けるとの見方が多かった。共和党のトランプ前大統領は、FRBが利下げに動けば、民主党のバイデン大統領を手助けする狙いがあるとすでにけん制しており、FRBが政治論争に巻き込まれる恐れがあった。

ただ、市場関係者は早期利下げへの期待を完全に捨てておらず、金利先物市場は9月に約60%の確率で利下げがあると予想している。

9月に利下げが実施されれば、消費者心理の改善につながり、バイデン氏に有利に働く可能性がある。

トランプ氏は今年、FOXビジネスとのインタビューで「(パウエルFRB議長は)恐らく民主党を助けるようなことをするだろう。もし利下げすればだ」とけん制。「恐らく誰かを当選させるために利下げを企てているように見える」と発言した。

世論調査ではバイデン氏の経済運営に対する評価が低く、利下げが大統領選後に先送りされれば、同氏にとって逆風となりかねない。

共和党のコンサルタント、ジャネット・ホフマン氏は「『バイデノミクス』のおかげで経済は好調だと有権者に必死に訴えているバイデン陣営にとって明らかに悪いニュースだ」と指摘。

ジャンピエール米大統領報道官は「FRBは独立している。FRBについてはコメントしない」と述べた。

<過去の事例>    

大統領選の年にFRBが利下げを実施したケースは過去にあるが、比較的まれな事例といえる。

直近では2020年のトランプ政権下で、パウエル議長率いるFRBが新型コロナウイルス流行への対応で政策金利をゼロ付近まで引き下げた。ただ、その年の大統領選ではトランプ氏がバイデン氏に敗れている。

その次の直近の事例では、08年に当時のバーナンキ議長率いるFRBが金融危機への対応で秋に繰り返し利下げを実施した。同年の大統領選では民主党のバラク・オバマ氏が共和党のジョン・マケイン氏を破った。

1992年には当時のグリーンスパン議長率いるFRBが失業悪化を受けて投票日前の数カ月間に複数回の利下げを実施した。この年の選挙では共和党のジョージ・H・W・ブッシュ氏が民主党のビル・クリントン氏に敗れた。

ブッシュ氏はその後、98年に行われたの英テレビ司会者デービッド・フロスト氏とのインタビューで「金利がもっと劇的に引き下げられていれば、私は大統領に再選されていただろう。進行していた景気回復がもっと目に見えるものになっていただろう」とし、「私は彼を再任したが、彼は私を失望させた」と語っている。    

<大統領選前の利下げも>

今後数カ月で情勢が変われば、FRBが9月中旬に利下げに動くことも考えられるが、必ずしもバイデン氏の追い風になるわけではなさそうだ。

パウエル氏は12日の会見で利下げ開始の是非を判断する基準として(1)インフレが持続的に目標の2%に向かっているとFRBが確信を深めた場合(2)労働市場が「予想外に悪化」した場合──の2つを挙げた。

第1の基準で利下げに踏み切った場合は、バイデン氏に有利に働く可能性があるが、第2の基準で利下げが実施された場合は、トランプ氏の追い風になる可能性がある。

パウエル議長は「(労働市場に)予想以上に懸念すべき軟化が見られた場合」現在の予想より早く利下げが行われる可能性があると発言。「われわれはリスクを完全に理解しており、事態が悪化するのを待ってから修復しようという計画はない」と述べた。

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