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米雇用回復まで曲折も、来年末まで失業率高止まり=識者

ロイター / 2020年4月13日 12時17分

 4月13日、米連邦準備理事会(FRB)による大量の資金供給と米政府・議会が決めた大型景気対策は、新型コロナウイルスの流行が終息するまで国内の企業や個人の資金繰りを支え、経済に長期的なダメージを残すことなく活動を再開できるようにする狙いがある。写真はワシントンで昨年3月撮影(2020年 ロイター/Leah Millis)

[ワシントン 10日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)による大量の資金供給と米政府・議会が決めた大型景気対策は、新型コロナウイルスの流行が終息するまで国内の企業や個人の資金繰りを支え、経済に長期的なダメージを残すことなく活動を再開できるようにする狙いがある。

しかし、識者の新たな経済予測によると、大規模な財政出動と金融緩和をもってしても、米国民の多くは失業状態が何カ月も続く可能性が高く、失業率は向こう数週間で世界大恐慌以来の高水準まで悪化した後、2021年末まで6%を上回る高水準にとどまるとみられている。

一方、クオールズFRB副議長は10日、米経済が冬眠状態にあるとし、「体温は下がっているが、恒久的なダメージなく回復できる」との期待感を示した。

失業率6%の状況が19カ月間続けば、近い将来に約400万人が職を失う計算で、早期に新型コロナ危機前の雇用水準に戻るのが難しくなる。失業率は危機前に3.5%まで改善し、低所得層でも賃金の伸びが加速していた。

元米財務省当局者でハーバード大学経済学教授のカレン・ダイナン氏は、米ピーターソン国際経済研究所向けにまとめた世界経済予想で、「傷跡はいくらか残るだろう。典型的な失職だ」と分析した。失業率は向こう数カ月間で恐らく20%に跳ね上がり、その後は年末前に「かなり早期に」1桁台に戻すとした。

「しかし、来年末までは6%程度の失業率が続く見込み」で、「多くの人々は仕事に復帰できないだろう」と述べた。

全米企業エコノミスト協会(NABE)が45人を対象に実施した調査の予想中央値によると、新型コロナに対応した社会的距離を保つための措置や店舗閉鎖を背景に失業率は急速に悪化する一方で、その後の回復は緩やかになる見通し。

2020年末時点の失業率の予想中央値は10%近くで、2021年も6%程度にとどまるとみられている。

<V字型景気回復になるのか>

米景気の悪化とその後の回復がどのような形を形成するかについても盛んに議論されている。落ち込みの度合いは深いが、危機前の水準まで早期に回復する「V」字型になるのか、回復が遅れる「U」型、あるいは、ほとんど回復しない「L」字型になるのか、先行きは不透明だ。

ダイナン氏とNABEの調査はともに、景気回復について楽観的な見通しを示している。NABEの調査では、第2・四半期の経済成長率の予想中央値は年率でマイナス26.5%と、落ち込みは深い。

NABEのプレジデント、コンスタンス・ハンター氏は「回答者は米経済がすでに景気後退に入っており、2020年上半期はマイナス成長が続くとみている。新型コロナ感染症の流行で経済活動が大きく制限されている」と指摘。その上で「積極的な財政・金融政策で年内には状況が改善する」と語った。

ただ、6%の失業率が続けば、FRBが完全雇用と見なす水準をはるかに上回るだけでなく、過去1年の歴史的に低い失業率を考慮しても打撃は大きいとみられる。

雇用の崩壊は急速に起こるが、その後の持ち直しは緩やかにとどまるというのが当面のシナリオとみられている。

ダイナン氏は「新型コロナウイルスによってわれわれの生活のあり方がいくらか変わるだろう」と予想。一部の職は危機後も求人が再開されないため、解雇された労働者と、他で採用を再開した求人側との間でミスマッチが起きるだろうと予想した。

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