USスチール株主総会、日鉄による買収計画を承認 98%が賛成票
ロイター / 2024年4月13日 9時0分
[12日 ロイター] - 米鉄鋼大手USスチールは12日に臨時株主総会を開き、日本製鉄による149億ドルの買収案が承認された。今年秋に米大統領選を控えて政治的な反発が強まる中でも、株主の多くが買収計画を支持した。労働組合との合意が得られるかが引き続き、焦点となる。
USスチールによると、投票した株主の98%から賛成を得た。発行済み株式の約71%に相当するという。
USスチールのデビット・ブリット最高経営責任者(CEO)は、「日本製鉄との取り決めに説得力があると(株主が)認識していることを明確に示した」との声明を発表日本製鉄の森高弘副会長は「買収完了に向けた大きな一歩が踏み出された」とし「USスチールとともに、『総合力世界ナンバーワンの鉄鋼メーカー』として、前進することを楽しみにしている」などとした。
同買収を巡っては、11月の米大統領選挙を控えて民主・共和両党の間から反対の声が上がっている。票田である全米鉄鋼労働組合(USW)が買収に反発を強める中、共和党の大統領候補トランプ氏は「阻止」すると表明。バイデン大統領も否定的な考えを示している。米政府は経済安全保障、反トラスト法の観点から同買収を審査している。
USWは株主総会の結果について、「株主が現金化のために米国の象徴的な企業の従業員と退職者を売り飛ばすことを選んだことに驚きはない」とした
日鉄は、USスチールへの投資の拡大と先進技術の提供を通じて米国の優位性を高め、同時に米国のサプライチェーン(供給網)と中国に対する経済安全保障を強化するとしたほか、買収によるレイオフや工場閉鎖がないことなどをあらためて表明した。
日本政府は民間企業同士の協議だとし、同買収に関与しない姿勢を示しているが、岸田文雄首相は10日のバイデン大統領との会談後の共同会見で、双方にとって望ましい方向に展開することを望むと語った。
日本製鉄は2023年12月にUSスチールの買収を発表。米国内から反発が出る中で、雇用の維持と米経済へのメリットを強調してきた。24年9月までに買収完了することを目指している。
(Aatreyee Dasgupta、清水律子、久保信博)
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