米独首脳が15日会談、パイプラインや対中政策巡る相違解消は困難か
ロイター / 2021年7月14日 11時55分
[ベルリン 13日 ロイター] - バイデン米大統領は15日にホワイトハウスでメルケル独首相と会談する。ロシア産天然ガスをドイツに送るパイプラインや米国の対中強硬姿勢といった意見の相違が大きい分野で画期的な進展は見込めないと専門家は指摘する。
両国関係はトランプ前政権下で悪化しており、双方とも改善を望む立場を表明している。しかし、隔たりが大きい分野では歩み寄りは期待できない。
メルケル首相はロシアとの間を結ぶガスパイプライン「ノルドストリーム2」に関し、米国や東欧諸国の反対をはねのけてきた。米国などは同パイプラインによってロシアがウクライナからガス通過料収入を奪い、親ロシア派武装勢力の対応に苦慮するウクライナ政府を弱体化させる可能性を懸念している。ノルドストリーム2は完成が近い。
一方、メルケル氏は16年の首相在任中にドイツおよび欧州連合(EU)の対中経済関係の強化に尽力してきた。バイデン政権は中国を国際社会への脅威と見なし、同国に対抗するために民主主義国家が連携することを望んでいる。
グローバル公共政策研究所(GPPi)のトーステン・ベナー氏は「ノルドストリーム2は現実的に最も進展が見込める分野だ」と分析。「ウクライナがガス経由地の役割を維持することを保障し、ロシアがウクライナ経由の輸送を削減しようとした場合に(元の状態に戻す)スナップバックの曖昧な仕組みを作ることで、丸く収めたいとメルケル氏は願っているかもしれない」とした。
米政権の高官は、バイデン氏は会談で同パイプライン反対の姿勢を強調する見通しだが、米政府が5月にパイプライン事業会社への制裁を見送ったため、双方が「パイプラインの負の影響に対応する外交上の余地が生じた」と説明した。
「ロシアがウクライナなどを混乱に陥れるための高圧的な手段としてエネルギーを使うことがないよう図る信頼できる確実な方法について(米当局は)引き続き話し合っている」と述べた。
中国の問題はさらに複雑だ。
メルケル氏はEUと中国が昨年合意した投資協定の支持者で、香港と新疆ウイグル自治区での人権侵害に十分に対応していないと批判されてきた。
ベナー氏は「バイデン氏とメルケル氏は共同で中国に対し、二酸化炭素排出削減や公共衛生に関する取り組みを強化するよう呼び掛ける公算が大きいし、中国市場の開放拡大の必要性にも触れるかもしれないが、中国に対して欧米が共同戦線を張っているとわずかでも思わせる動きがメルケル氏から出るとは思わない」と述べた。
両国はコロナワクチンの増産に向けた特許の一時放棄や、米国による欧州からの入国者に対する制限についても立場に隔たりがある。
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