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9月ロイター企業調査:異常気象「収益にマイナス」44%、酷暑で人手確保困難

ロイター / 2023年9月14日 10時4分

 9月のロイター企業調査で世界の異常気象による収益への影響を尋ねたところ、「マイナス」が44%で、「プラス」の7%を大きく上回った。写真は都内で2020年6月撮影(2023年 ロイター/Issei Kato)

Maki Shiraki

[東京 14日 ロイター] - 9月のロイター企業調査で世界の異常気象による収益への影響を尋ねたところ、「マイナス」が44%で、「プラス」の7%を大きく上回った。非製造業の過半数、製造業の35%が異常気象は収益に「マイナスに影響する」とみている。

世界の気温が過去最高を更新する中、特に酷暑の影響は「既に出ている」、「今後、出る」と回答した企業は合わせて6割超に上り、製造現場や営業外回りなどを担う人手の確保や暑さ対策の費用増加などが課題になっている。

調査期間は8月30日から9月8日。発送社数は502、回答社数は248だった。

回答企業は具体的なマイナス影響として「設備投資費用が環境投資、BCP(事業継続計画)投資に流用され、下押しされる」(機械)ことや、「サプライチェーン混乱とそれによるコスト増」(電機)などを挙げた。

サービス業からは「飲食の仕入れ」、「旅行に対する消費マインド減退」などへの影響、「物流費の高騰」を懸念する声も聞かれた。鉄道会社は豪雨などが運行に直接響いて旅客数が減少するだけでなく、「酷暑による出控え」も懸念事項に挙げた。「自然災害の増加や食糧問題などがまだどこまで影響するかの予測がつかない」(情報サービス・通信会社)といった背景から「わからない」と答えた企業もある。

異常気象への具体的な取り組みについては「節電・省エネ」が58%でトップ。その他の回答として、「原料調達の多角化」(化学)を進めている企業もあった。

<暑さ対策費用の増加が負担に>

酷暑の影響は「既に出ている」が35%、「今後出る」が26%だった。欧州連合(EU)の気象情報機関によると、世界の気温は6月から3カ月連続で過去最高を更新。8月は産業革命前の平均気温を1.5度上回った。気象庁によると、日本も1898年の統計開始以来、最も暑い夏となった。

具体的な影響としては「夏場の外回り営業を嫌う社員の増加」(機械)や「製造(鋳造)現場の環境改善には限界があり、人員採用に苦労」(輸送用機器)などの声があり、人手の確保が難しくなっている様子がうかがえる。

「暑さ対策費用が増加し、経営の負担になっている」(輸送用機器)といい、「コスト高の要因」(繊維)になっていることも課題。政府からの「補助金などに期待したい」(繊維)との声も出ていた。食品を扱う卸売業は「食品によっては生産量低下や産地変更などの影響が出てくる」ことを懸念していた。

従業員の暑さ・熱中症対策は「実施しているが不十分」が38%、「十分に実施している」は39%だった。

「冷房機器の拡充や設定温度引き下げ、稼働時間の延長」が具体策の約7割を占めた。「全整備工場に空調設備を導入」(小売)したり、「現業がない事務所勤務でも早朝・夜間の冷房稼動延長」(卸売)をしている。

そのほか、建設・運輸・機械・卸売など複数の企業が小型扇風機付き作業服を積極的に従業員に貸与していると回答した。

(白木真紀 グラフィック作成:照井裕子 編集:久保信博)

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