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焦点:キャメロン氏の英外相起用は危険な賭け、与党保守派が反発

ロイター / 2023年11月14日 12時58分

 スナク英首相が11月13日に打ち出したキャメロン元首相を外相に起用する予想外の人事からは、来年に予想される総選挙で勝利するため、動揺する支持層に対して保守党は右傾化していないとのシグナルを送りたいというスナク氏の期待が透けて見える。ロンドンのダウニング街10番地の首相官邸外で撮影(2023年 ロイター/Suzanne Plunkett)

Elizabeth Piper Alistair Smout Andrew MacAskill

[ロンドン 13日 ロイター] - スナク英首相が13日に打ち出したキャメロン元首相を外相に起用する予想外の人事からは、来年に予想される総選挙で勝利するため、動揺する支持層に対して保守党は右傾化していないとのシグナルを送りたいというスナク氏の期待が透けて見える。ただキャメロン氏の起用によって政権内では欧州連合(EU)残留支持派がさらに増えるため、保守派は今回の人事に反発して党内融和につながっておらず、危険な賭けとも言える。

スナク氏はパレスチナ支持者の大規模デモを巡り問題発言を繰り返したブレーバーマン内相を更迭し、内閣改造を実施した。キャメロン氏は英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う2016年の国民投票でEU残留を訴えていた。

キャメロン氏の起用はリスクの高い戦略だ。中道派議員は歓迎するが、党内右派はEU加盟問題を巡る攻防で築き上げた優位性が失われたと受け止めており、「ブレグジット(EU離脱)問題における降伏」だと危惧する議員もいる。

保守党の右派議員は、経営破綻した英金融会社グリーンシル・キャピタルを巡ってキャメロン氏が政府に働き掛けを行っていたことに触れ、「スナク氏はEU残留を主導しグリーンシルとの関係で大きな問題を抱えた人物を起用した」と指摘。「スナク氏は保守派に喧嘩を売っているのだろうか」と皮肉った。

ブレーバーマン氏の解任でEU離脱を支持する最も著名な政治家の1人が閣外に去る。これでスナク政権の閣僚29人のうち16年の国民投票でEU残留を支持したのは少なくとも16人となり、離脱支持の10人を大きく上回る。スナク氏は離脱支持派だ。

スナク氏は首相就任以来、前任のリズ・トラス氏が解任した、右派に人気の高いブレーバーマン氏を内相に指名するなど、党内のあらゆる勢力から支持を得ようと努めてきた。

また環境や犯罪などを巡る「既成概念」に挑む気概のある、タフな意思決定者で、率先して変革を仲立ちする人物として自らを演出しようとしてもいる。

一方、英国では2025年1月までに総選挙が実施されるが、保守党は野党労働党に20ポイント程度の差を付けられている。

スナク氏は次回総選挙までの減税を求める右派の要求に抵抗しており、今回の人事によって議会内で反スナク氏の動きが生まれる可能性がある。

<中道派は評価>

しかし中道派議員は、キャメロン氏は政府運営の豊富な経験を持ち穏健派で、主にイングランド南部の富裕な支持層から安心を得ることができるとして、今回の起用を評価している。

保守党のある議員は匿名を条件に「主流派を安心させることができる」と述べた。また別の議員は、キャメロン氏には、1度は自由民主党と連携したとはいえ、2度の選挙で勝利した実績があると指摘した。

保守党は党内抗争が続いている。特にキャメロン氏がEU離脱の是非を問う国民投票の実施を表明してからその傾向が強まって新たな段階に達しており、キャメロン氏の起用にはこうした党内を団結させる効果がほとんどない。

次の選挙で勝てると考えている保守党議員はほぼ皆無だ。

調査会社イプソスの政治担当ディレクター、キーラン・ペドリー氏は、スナク氏は戦略が不明確だと指摘した上で、次の総選挙では生活費と公共サービスが焦点になると予想。「今のところ、国民はこうした問題の解決に当たるのは労働党だと考えている。保守党がチャンスを手に入れるためには、国民のこうした認識を変える必要があるが、キャメロン氏の復帰がその変化につながるとは考えにくい」と述べた。

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