岸田首相、党総裁選不出馬を表明 裏金問題「組織の長として責任」

岸田文雄首相は１４日午前に記者会見し、今秋の自民党総裁選に出馬しない意向を表明した。代表撮影（２０２４年　ロイター）

Yoshifumi Takemoto　Kentaro Sugiyama

［東京　１４日　ロイター］ - 岸田文雄首相は１４日午前に記者会見し、９月に行われる自民党総裁選に出馬しない意向を表明した。昨年１１月に表面化した自民党派閥の政治資金問題などで支持率低迷が続く中、岸田首相は総裁選で自民党が変わる姿を示すことが重要と説明。「最も分かりやすい最初の一歩は私が身を引くことだ」と語った。新総裁選出後に退任する。

岸田首相は党の政治資金パーティーの裏金問題に言及し、「所属議員が起こした重大な事態について、組織の長として責任を取ることにいささかの躊躇（ちゅうちょ）もない」とした上で、「私が身を引くことでけじめをつけ、総裁選に向かっていきたい」と述べた。

岸田首相の党総裁任期は９月末で、自民党はそれまでに総裁選を行う。

時事通信が２─５日に行った世論調査では、次期総裁にふさわしい自民党議員は石破茂元幹事長が１８．７％、小泉進次郎元環境相が１２．５％、高市早苗経済安全保障担当相が６．５％、河野太郎デジタル相が５．２％となり、岸田首相は４．７％だった。

自民党は裏金問題で派閥が力を失った。これまでの総裁選と異なり、派閥トップの指示ではなく各議員の判断で投票することになる。自民党の元職員で政治評論家の田村重信氏は「世論調査で人気の高い石破元幹事長と小泉元環境相が有利。このほか高市経済安保担当相、小林鷹之前経済安保担当相の出馬が注目される」と話す。

岸田首相は会見で新総裁について「政治とカネの問題や政治の信頼回復の問題について一連の改革マインドが後戻りすることがないような方であってもらいたい」と語った。

岸田首相の在任日数は８月１４日時点で１０４６日。２１年１０月に就任して以降、経済政策では物価が上昇する中で賃上げを最重要課題に位置付け、貯蓄から投資への旗を振った。円安の進展ととともに日経平均株価は今年３月に約３４年ぶりに最高値を更新した。２０２７年度まで５年間の防衛費を１．６倍に増額することも決めた。

内閣支持率は２３年５月に広島市で開いた主要７カ国（Ｇ７）首脳会談直後を除いて低迷した。安倍晋三元首相銃撃事件で発覚した旧統一教会と党議員の関係、党の政治資金パーティーの裏金問題などが響き、８月にＮＨＫが実施した最新の世論調査は支持２５％、不支持５５％だった。