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アングル:パニック収まった米国株、本当の安定回復は当面見込めず

ロイター / 2024年8月14日 11時15分

 米国株式市場では、先週のボラティリティー急上昇に伴うパニック状態が収まったように見える。ただ過去の事例が参考になるとすれば、市場では当面神経質な展開が続くかもしれない。7月3日、ニューヨーク証券取引所で撮影(2024年 ロイター/Brendan McDermid)

Saqib Iqbal Ahmed

[ニューヨーク 13日 ロイター] - 米国株式市場では、先週のボラティリティー急上昇に伴うパニック状態が収まったように見える。ただ過去の事例が参考になるとすれば、市場では当面神経質な展開が続くかもしれない。

投資家の不安心理の度合いを示すボラティリティー・インデックス(VIX)は5日に38.57まで上がって取引を終えた後、足元では20前後まで低下。S&P総合500種は、先週の安値から3%戻している。

こうした不安感の急速な後退について投資家は、先週の急落の背景は世界経済の成長などの長期的な懸念ではなく、円で資金調達したキャリートレードを含む巨額のレバレッジポジションの解消によって引き起こされたことを示すさらなる証拠だと指摘した。

それでもいったん跳ね上がったボラティリティーは何カ月も高止まりする傾向があり、上半期の資産価格を押し上げてきたリスクテークの取引を手がけるのは得策でないことが分かる。

実際ロイターが分析したところでは、VIXが投資家の不安が大きいとみなされる35を超えて引けた場合、長期の中央値である17.6に戻るまでには平均で170営業日かかっている。

IGノースアメリカの最高経営責任者(CEO)で、テイスティートレード社長のJ・J・キナハン氏は「(VIXが)レンジ内に落ち着けば、市場参加者もより自制的に戻るだろう。ただ半年から9カ月は、人々を動揺させるのが普通だ」と述べた。

米国株は今月大揺れに見舞われるまで、S&P総合500種は一時年初来で19%上昇し、7月初めには過去最高値を更新した。ところが複数の割高なハイテク企業が期待外れの業績を発表するとほころびが生じて売りが広がり、VIXは10台前半のレンジから上振れしてしまった。

7月終盤から今月初めにかけて事態はより深刻化。日銀が予想外の追加利上げに動くと、低利の円で調達した資金を米ハイテク株やビットコインなどに投資していたキャリートレードを手がけてきた市場参加者が窮地に陥った。

一方で投資家が一連の経済指標が点灯させた警戒信号を受け、急いで米国経済の減速を織り込んだ結果、S&P総合500種は7月の最高値から8.5%下がり、一般的に「調整局面入り」と定義される10%安に迫る場面があった。同指数は今年に入ってまだ12%上昇している。

CBOEグローバル・マーケッツのマンディ・シュー氏は、株価の急速な下落と反発はリスクポジション解消があったことを示していると説明。5日のボラティリティー拡大は株式市場と外国為替市場に限定され、金利やクレジットなど他の資産には波及しなかったと付け加えた。

ただ、投資家がまだ何カ月も浮き足立ったままになる理由は数多くある。今週発表される米消費者物価指数(CPI)などで経済が単に一時的な落ち込みを迎えたのか、あるいはより重大な減速局面に入るのかは見極めが必要だ。11月の米大統領選や中東情勢緊迫化なども、投資家に警戒を促すことになる。

データトレック・リサーチ共同創業者のニコラス・コラス氏は、VIXが長期平均の19.5を下回り続けられれば、市場が本当の落ち着きを取り戻したと判断することにしている。

コラス氏は、少なくともVIXが19.5を数日下回るまで、市場の不確実性を重視し、押し目買いを控えると明かした。

S&P総合500種が調整局面入り寸前まで下落したことも心配な要素だ。1929年以降のデータに基づくと、S&P総合500種の下落率が調整局面とされる10%安の1.5%以内に達した28回のケースのうち、20回でその後平均26営業日を経て10%安を記録した。

ただ残る8回は10%安を回避し、平均61営業日で最高値を更新している。

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