焦点:ルビオ氏の米国務長官指名、対中戦略のタカ派転換を示唆
ロイター / 2024年11月15日 7時19分
11月14日、 トランプ次期米大統領(写真左)は中国に対する強硬姿勢で知られるマルコ・ルビオ上院議員(同右)を国務長官に指名した。ノースカロライナ州ローリーで4日撮影(2024年 ロイター/Jonathan Drake)
Michael Martina
[ワシントン 14日 ロイター] - トランプ次期米大統領は中国に対する強硬姿勢で知られるマルコ・ルビオ上院議員を国務長官に指名した。これはトランプ政権の対中政策が関税と貿易の重視にとどまらず、よりタカ派的な姿勢に転じる可能性を示唆している。
トランプ氏は国家安全保障担当の大統領補佐官にマイク・ウォルツ下院議員、中央情報局(CIA)長官には第1次トランプ政権で国家情報長官を務めたジョン・ラトクリフ氏を充てた。中国を不快にしそうな人事だ。
こうした人選からは、台湾支援からフェンタニル危機に至るまで、バイデン政権による中国との「競争を管理する」アプローチを転換したいというトランプ氏の考えが透ける。
中国問題に詳しい元外交官のデービッド・ファイアスタイン氏はルビオ氏について、「中国は米国の敵だと心の底から信じている」と語る。「それが中国に対する彼の行動の全てに影響を与えるだろう」と述べ、中国とのゼロサム競争に関するルビオ氏の信念は米中の緊張や対立を増幅させるとの見方を示した。
ルビオ氏は香港の民主化運動を支援したとして、2020年に中国から制裁を受けた。同氏が国務長官に就任すれば、中国は初めて米国務長官に渡航制限を課すことになる。この問題への対応は、中国がトランプ政権とどのように関わっていくかを示す試金石となる。
在米中国大使館は、ルビオ氏に対する制裁や同氏の国務長官指名についてコメントしなかったが、報道官は新政権と協力して「安定的かつ健全で持続可能な方向」での関係推進を中国政府は心待ちにしていると述べた。
<人権を重視>
ルビオ氏は中国の人権問題を重視してきた。新疆ウイグル自治区からの輸入には強制労働で生産されたものではないことの証明を義務付ける「ウイグル強制労働防止法」を共同提案し、中国の猛反発を招いた。
また香港の民主化運動を後押しすることを目的とした「香港人権・民主化法案」を提出し、19年に成立した。香港の活動家はルビオ氏を民主化運動の擁護者とみなしている。
現在審議されている米国の香港経済貿易代表部に対する認証取り消し権限を国務長官に与える法案も同氏が提案した。
ルビオ氏はまた、国家安全保障に対する中国の脅威に焦点を当て、電気自動車(EV)用電池大手、寧徳時代新能源科技(CATL)の禁輸リスト追加や、米国の技術の対中輸出規制強化などを主導してきた。
北京にとって最も不快なのは、台湾に対するルビオ氏の全面的な支持だろう。同氏は台湾との自由貿易協定(FTA)や米台当局者の自由な交流を呼びかけている。
トランプ氏はこれまでに習近平国家主席をたびたび称賛しており、対中規制でルビオ氏にどの程度自由度を与えるかは不明だ。そうした措置が政権の他の目標と相反する場合はさらに不透明だ。
アジア・ソサエティー政策研究所のダニエル・ラッセル氏は、「(トランプ氏による外交政策の)布陣は対中タカ派が目立つ。しかしトランプ氏が中国との対決から取引へ方向転換すれば、それに従うだろう」と述べた。
中国はルビオ氏を避けて、首脳同士や他の米高官との直接対話を模索する可能性がある。
ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)のディレクター、スティーブ・ツァン氏は「もしそれがうまくいかなければ、両国の関係はますます悪化していくだろう」と語った。
この記事に関連するニュース
-
「米、インド太平洋で優位に」=トランプ政権に対中政策の継続期待―国務副長官
時事通信 / 2024年12月20日 14時11分
-
トランプは「冷戦2.0」に勝てるのか?外交での3つの選択肢
ニューズウィーク日本版 / 2024年12月18日 16時31分
-
トランプ政権再登場で気をもむフィリピンの本音 南シナ海領有権や米比同盟は鉄壁のままか
東洋経済オンライン / 2024年12月14日 9時0分
-
トランプ氏、台湾の曖昧戦略維持 元高官が指摘
共同通信 / 2024年12月13日 10時3分
-
トランプ2.0の人事からわかる「米中戦略的対立」の本気度…識者が危惧する日本企業が被るチャイナリスク
プレジデントオンライン / 2024年11月28日 10時15分
ランキング
-
1イスラエル・ネタニヤフ首相がトランプ氏の就任式出席へ 逮捕状を出されて以降、初の外遊か
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年12月26日 15時13分
-
2バイデン氏がウクライナ支援増強を指示 クリスマス攻撃のロシアを非難、退任前に圧力強化
産経ニュース / 2024年12月26日 17時14分
-
3「死刑囚よ地獄に行け!」 トランプ氏Xマスに投稿
共同通信 / 2024年12月26日 11時26分
-
4ロシア軍のミサイル誤射説も浮上 カザフスタンの旅客機墜落、死者は38人に
産経ニュース / 2024年12月26日 9時4分
-
5モザンビークの刑務所で暴動、33人死亡 約1500人脱走
ロイター / 2024年12月26日 12時23分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください