1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

情報BOX:プーチン氏続投濃厚、ロシア大統領選の概要

ロイター / 2024年3月14日 17時36分

 ロシアの大統領選挙が、3月15ー17日に実施される。写真はプーチン大統領の写真を掲げる支持者ら。10日、ロシア南部チェチェン共和国グロズヌイで撮影(2024年 ロイター/Chingis Kondarov)

[モスクワ 11日 ロイター] - ロシアの大統領選挙が、3月15ー17日に実施される。予期せぬ事態が起こらない限りは現職のプーチン大統領(71)の勝利が確実視されており、2030年まで6年間の続投が決まれば、クレムリンの最高指導者としては旧ソ連指導者スターリン時代以来で最も長い在任期間を更新することになる。

ロシア大統領選の概要を以下にまとめた。

◎日程

3月15ー17日にかけて投票が実施される。結果はすぐに発表され、当選者は5月に大統領に就任することになる。

投票は、ロシアが新たに自国の領土だと主張する、ウクライナのロシア軍占領地域でも行われる。ウクライナは、全てのロシア兵が国土から退去するまで手を緩めないと表明している。

今回は、ロシアの大統領選としては初めて、オンライン投票システムも導入される予定だ。

◎有権者数

今回の選挙における有権者の総数は約1億1230万人。国外でさらに約190万人、カザフスタン国内に位置しロシアが宇宙基地として管理するバイコヌールでは約1万2000人が投票権を持つ。

実際に投票するのは通常およそ7000ー8000万人だ。2018年大統領選での投票率は67.5%だった。

◎候補者

現職プーチン氏のほか、共産党のハリトノフ氏、極右・自由民主党のスルツキー党首、政党「新しい人々」のダワンコフ氏が出馬を表明している。

反戦を掲げるボリス・ナデジディン氏と、独立系の女性ジャーナリスト、エカテリーナ・ドゥンツォワ氏の2名は、立候補を認められなかった。

◎プーチン氏について

旧ソ連国家保安員会(KGB)の諜報員だったプーチン氏は1999年12月31日、エリツィン元大統領の辞任に伴い、大統領代行に指名された。2000年の大統領選では53.0%、04年には71.3%の得票率で勝利した。

08年の選挙でメドベージェフ氏が大統領となり、プーチン氏は首相に就任。その後、12年の大統領選で63.6%の票を獲得したプーチン氏が大統領に再選された。18年の選挙でも76.7%の得票率で勝利している。

◎ロシア大統領の任期は

プーチン大統領は既に、旧ソ連のブレジネフ共産党書記長の18年も上回り、スターリン時代以来で最も長い期間、ロシア最高指導者の座にある。

1993年に制定されたロシア憲法は、一部の西側諸国からはソ連崩壊後のロシアの民主主義を主導する進歩だと見なされていた。

憲法では当初、大統領の任期は4年で、連続で最長2期まで務めることが可能だと明記されていた。

ただ、2008年の憲法改正で任期は6年に延長された。20年には、プーチン氏が任期満了を予定していた24年以降、同氏のこれまでの大統領在職期間をゼロに戻し、最長36年までの続投を可能にする法律が成立。法改正には領土割譲の禁止も盛り込まれた。

◎民主主義か独裁か

プーチン大統領は西側諸国から「戦争犯罪人」や「殺人者」、「独裁者」として非難されているが、国内の世論調査では支持率がウクライナ侵攻以前より高い85%との評価を受けている。

ロシア大統領府は、プーチン氏が国民から圧倒的な支援を得ており、西側諸国から民主主義に関する説教を受けるのは望まないとしている。また、政府高官は西側諸国がロシアにおける選挙の正当性に疑念を呈することでロシアの弱体化を図っているとも非難した。

支持者らは、プーチン氏が1991年の旧ソ連崩壊以降続いてた「負のスパイラル」を止め、米国をはじめとする西側諸国に立ち向かい、旧ソ連を率いた歴代の書記長らが持っていた影響力を少なくとも部分的に回復させたと賞賛する。

強硬派の共産主義勢力から急進的ナショナリストまで幅広い野党の多くは、厳格に管理された政治システムの規則を順守する傾向にある。議席は持っているものの、主要事項について大統領府に異議を唱えることはない。親欧米でリベラル派の立候補者は議席を獲得できていない。

ロシア北極圏の刑務所で死亡した同国の反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏の支持者の多くは現在、投獄されるか亡命している状態だ。元石油王のミハイル・ホドルコフスキー氏ら反体制派も海外での生活を続けている。

反体制派はプーチン氏を、汚職に依存しながら自身による支配システムを確立しており、マフィアのゴッドファーザー的だと批判する。反対勢力は1999年以降、プーチン氏の支配するシステムはいずれ混乱が起きて崩壊すると予測してきた。

◎抗議活動

ナワリヌイ氏の妻ユリヤさんは、夫の死後に広がったナワリヌイ氏に対する支持活動の規模が、同氏の信念が生き続けていることを示していると語った。

ナワリヌイ氏は生前最後に発信したメッセージの一つで、大統領選当日となる17日の正午に一斉に投票することで、投票所に混乱を起こすよう呼びかけていた。

ユリヤさんは夫の遺志を引き継ぎ、選挙当日にプーチン氏に対する抗議行動を起こすよう呼びかけた。

「とても単純かつ安全な行動だ。(当局はこれを)禁止できない。そして数百万人が同じ考えを共有しており、一人ではないと気付くことができる」とユリヤさんは語る。

「私たちは戦争に反対し、腐敗に反対し、無法状態に反対している人々に囲まれているのだ」

ロシア連邦保安局(FSB)元大佐のイーゴリ・ギルキン氏は1月、過激派扇動の罪で禁錮4年を言い渡された。同氏は今回の選挙について、勝者が既に明白で「見せかけ」でしかないと非難した。

戦争推進派のギルキン氏はウクライナを主権国家として認めず、その大部分はロシアの領土であると主張している。同氏はロシアが指揮官のトップを解任し、真剣に戦い始めない限り、ウクライナ戦争で敗北することになるだろうと述べている。

◎選挙監視当局の見解は

欧州安全保障協力機構(OSCE)の民主制度・人権事務所(ODIHR)は1月、ロシアが今回の大統領選挙にOSCEの監視チームを招待しないとの決定を下したことについて、遺憾だと指摘した。

「3月の大統領選挙に監視チームを送り込むことができないほどまでロシア連邦の状況が悪化してしまっていることを遺憾に思っている」とOSCE議員会議のピア・カウマ議長は語った。

「OSCE議員会議が最初の選挙監視ミッションを行ったのは、1993年のロシアの選挙だった。以来、同国で10回の国政選挙を監視してきた。今年は現地で実際に選挙を監視することが許されず、民主主義がそこまで深刻に後退しているのは非常に望ましくないことだが、今後も状況をしっかりと追い続けたい」

2018年の大統領選について、ODIHRは、投票率向上のための懸命な努力が行われ、多くの国民が票を投じたと評価した。

一方で、「集会・結社・表現の基本的自由や候補者登録の上限は、政治に関わる場を制限し、真の競争は行われなかった」と指摘。

「候補者は一般的な選挙活動を自由に行うことができた一方、多くのメディアが現職大統領に関して重点的に無批判な内容の報道を行ったため、競争の公正さを欠いていた。投票の秘密性や集計の透明性に関する不備はあったが、全体的には選挙当日は整然と進められていた」 とした。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください