欧州でコロナ入国制限が一部緩和、マヨルカ島にドイツ人客到着
ロイター / 2020年6月16日 2時43分
欧州では15日、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた入国制限が一部緩和され、スペインのマヨルカ島などの観光地を訪れる人の姿が見られた。写真はマヨルカ島で観光バスに乗り込むドイツ人観光客ら(2019年 ロイター/ENRIQUE CALVO)
[ブリュッセル 15日 ロイター] - 欧州では15日、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた入国制限が一部緩和された。ドイツから風光明媚なスペインのマヨルカ島へ、フランスから安いたばこを求めてベルギーへ、イタリアから宝くじを買うためフランスへ、それぞれの観光地を訪れる人の姿が見られた。
スペインは、ドイツの一部観光ツアー客の受け入れを試験的に再開した。正式な入国制限の解除を2週間後に控え、地中海のバレアレス諸島に一定のドイツ人観光客を迎え入れ、新型コロナへの感染対策を講じながらツアー旅行の受け入れ体制を模索する。
ドイツのデュッセルドルフ空港には15日朝、マスク姿の数十人のツアー参加客が旅行会社が手配したチャーター機に搭乗する列に並んだ。早くも半袖シャツ姿になったツアー客の1人は「現地はいつもより静かだと思う。再び旅ができるようになってうれしい」と話した。
その後、マヨルカ島に到着した数百人の観光客らは、手洗いやマスク着用を促すサインを確認し、物理的距離を保ちながら検温を受け国境を通過した。旅行会社TUIの広報担当者は「これほど閑散としたパルマ・デ・マヨルカ(マヨルカの中心地)は見たことがなく、観光客は喜ぶと思うが、例年のようなパーティーは開かれないだろう」と語った。
スイスやフランスとの国境に近いドイツの小都市バイル・アム・ラインのショッピングモールは15日、通常を超えるにぎわいを見せた。モールの管理責任者は「常連客の約50%はスイスとフランスから来ており、観光客の受け入れ再開はわれわれにとって非常に重要。この日を楽しみにしていた」と話した。
<段階的再開>
EU加盟国のうち22カ国とアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイスは国境管理を廃止したシェンゲン協定に参加しているが、新型コロナの世界的流行を受け、3カ月前からモノの移動や必要不可欠な労働者を除き、制限を敷いてきた。
制限解除は夏の観光シーズンを控える域内の旅行・観光業界を支えることになる。同業界は娯楽・文化と合わせ、EUの経済の1割近くを占めており、地中海の国々にとってはこの割合はさらに大きい。
当局は、域内の国境管理を解除することで、7月からは他の国々からの入国制限も段階的に解除し、都市封鎖(ロックダウン)で落ち込んだ観光産業を復興させたいと期待する。
欧州委員会は「EU再開」(https://reopen.europa.eu/en)というサイトを立ち上げ、旅行や新型コロナに関する規制、ホテルやビーチの営業状況などの情報を提供している。ただ、以前のような制限のない自由な旅行が再び楽しめるようになるには時間がかかりそうだ。
ギリシャはEU域内8カ国の指定空港が出発地の渡航者に対して隔離を義務付ける。チェコはポルトガルやスウェーデンなど、「オレンジ」や「赤」に指定された国々からの渡航者の入国は禁止する。
デンマークはアイスランド、ドイツ、ノルウェーからの渡航者は6泊分以上の宿泊予約があれば入国を認めるが、スウェーデンからの渡航者は入国を認めない。
昨年の欧州議会の報告によると、コロナ危機前は1日当たりのEU域内の越境者は平均350万人に上り、そのうち約170万人は通勤者だった。
ただ、通勤者の多くは在宅勤務に切り替えている。
ベルギーのブリュッセル国際航空で15日に運航が予定されているのは約60便と、通常の600便の10%にとどまる。
*内容を追加しました。
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