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焦点:中国、内需シフトの改革に期待 次期5カ年計画の軸に

ロイター / 2020年9月15日 12時57分

9月10日、中国改革派の間では、習近平国家主席が提案した新たな経済モデル「双循環」を契機に、内需振興と構造改革が加速するとの期待が高まっている。北京で7月撮影(2020年 ロイター/Tingshu Wang)

[北京 10日 ロイター] - 中国改革派の間では、習近平国家主席が提案した新たな経済モデル「双循環」を契機に、内需振興と構造改革が加速するとの期待が高まっている。政策関係者らによると、10月に開かれる中国共産党の重要会議、第19期中央委員会第5回全体会議(5中全会)では双循環モデルについて討議され、5カ年計画に組み込まれる見通しだ。

習主席が5月に発表した双循環モデルの柱は、国内で生産、分配、消費を循環させる「内需大循環」だ。貿易や資本、投資を対外開放して世界経済との一体化を進める「国際大循環」が、これを補助する形となる。

折しも米中間では貿易を巡る緊張感が高まり、両国経済のデカップリング(かい離)が大きなリスクとして浮上している。そうした中、中国のこの構想は、広大な自国市場への依存へと、シフトを切る決意の表れだ、と政策関係者らは言う。

5中全回の焦点は、2021―25年の社会・経済計画を示す5カ年計画。中国が初めて策定した1953―57年の5カ年計画によって急速な工業化に乗り出して以来、今回の計画は14回目となる。

政策関係者は「(双循環は)14次5カ年計画の軸になるだろう」と話した。

5カ年計画の詳細は来年の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で公表される予定で、現在はほとんど明らかになっていない。しかしエコノミストやシンクタンクは、さまざまな改革を提案している。

政府顧問らは、土地・居住制度の改革を加速し、消費を圧迫してきた貧富の差の拡大に取り組むよう提案している。現在の制度は、高度に都市化した消費主導経済の構築という目標を達成する上で、最大の障害となっているからだ。

また、巨大国有企業を改革して根深い経済のゆがみを解消し、民間企業が平等に闘える土俵を築くことも、政府顧問らが提唱するポイントだ。

ある顧問は「改革をしっかりと行えなければ、国内大循環は始まらない」と語った。

習主席は8月24日の国内エコノミストらとの会合で、「根深い制度的障害」の打開に一層取り組むと約束。資源配分の決定的な役割で市場を重視するという、長年の方針を再確認した。

実際、経済の不均衡を是正し、輸出から個人消費に軸足を移すことは、10年前からの政策目標だ。

しかしここ数年、安定を重視する政府は安易な方向に流れ、2013年に公表した痛みを伴う改革を先送りしてきた。共産党が社会のあらゆる側面で統制を強めたことで、改革加速に疑問が生じた。

<中所得国の罠>

改革は大きな賭けだ。

中国の国内総生産(GDP)に占める輸出と輸入の割合は昨年32%と、ピークだった2006年の64%から縮小した。ここ数年間、経済成長を主導させると位置付けてきた個人消費の割合は、昨年は55.4%と、2010年の49.3%から拡大したが、先進国並みの70―80%には遠く及ばない。

国の所得水準が中間レベルに達した時点で経済が停滞する「中所得国の罠」に陥るのを避けるには、さらなる改革が必要だとエコノミストは指摘する。最先端技術を備えた国々との競争激化と併せ、より労働コストが低い国々との競争が成長の最大の障害だ。

政策関係者らによると、中国が今後5年間で高所得国の仲間入りを果たすには、年率5%の成長を続ける必要がある。しかし新型コロナウイルス危機により、今年の成長率は文化革命を終えた1976年以来の最低に落ち込む可能性が高い。

中国政策科学研究会のXu Hongcai副ディレクターは「大国が外需に依存するのは現実的ではない。われわれは国内のサプライチェーンの安定を高め、改革を進めてバリューチェーンを上って行く必要がある」と述べた。

(Kevin Yao記者)

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