北朝鮮が軍事パレード、新型SLBMも登場 核実験再開前触れか
ロイター / 2021年1月15日 13時32分
[ソウル 15日 ロイター] - 北朝鮮国営メディアは、平壌の金日成広場で14日、党大会を記念して軍事パレードが行われたと報じた。新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)とみられる装備を披露した。
国営メディアが伝えた写真では、金正恩総書記がパレードを観閲し、笑顔で手を振る様子が確認できる。
パレードでは隊列を組んだ兵士が行進したほか、戦車やロケット発射装置などを披露。パレードの終わりには、新型の短距離弾道ミサイルやSLBMとみられる装備を乗せたトラックが登場した。
朝鮮中央通信(KCNA)は「世界最強の兵器、潜水艦発射弾道ミサイルが次々と広場に入り、革命的な軍の力を強力に示した」と伝えた。
国営メディアが公表した写真では、SLBMには「北極星5」と書かれており、昨年10月に行われた大規模軍事パレードで披露された「北極星4」の改良版の可能性がある。
米ジェームズ・マーティン不拡散研究センター(CNS)のマイケル・ドゥイツマン研究員はツイッターで「新たなミサイルは従来型より間違いなく長く見える」と指摘した。
10月に披露された大型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)はパレードに登場しなかった。
米国防総省はコメントを控えた。韓国政府から軍事パレードに関するコメントは得られていないが、同国外務省は北朝鮮の最近の動きについて、米韓の核問題担当トップが協議したことを明らかにした。
韓国・梨花大学のリーフエリック・イーズリー教授は、パレード自体は挑発を目的としたものではないが、懸念すべき兆候だと指摘。「新型コロナウイルスに関連した国境閉鎖や、政策運営の不備、国際制裁によって経済は著しく圧迫されている」とし、「それにもかかわらず、もしくはそれが原因で、正恩氏は限られたリソースをさらなる政治・軍事的誇示に費やす必要性を感じている」と分析した。
また、ソウル大学教授で核技術専門家のSuh Kune-yull氏はSLBMのレンジや改良について、バイデン次期米大統領の就任直前に党大会や軍事パレードを開催することで金正恩氏が送ろうとしているメッセージほど重要ではないと指摘。
「より重要なのは、これが見送られていた核実験が再開される前触れだと認識することだ。北朝鮮はバイデン政権発足前にその準備を整えようとしている」との見方を示した。
北朝鮮は2017年以降、核実験やICBMの発射を行っていない。ただ、こうした自国の方針について、正恩氏は非核化を巡るトランプ大統領との首脳会談が物別れに終わって以降、縛られているとはもはや感じないとし、これらの実験再開をほのめかしている。
*内容を追加しました。
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