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日経平均3万円:30年半前の熱狂なし、バブルに程遠い=ケイ・アセット 平野氏

ロイター / 2021年2月15日 10時16分

 2月15日、日経平均株価が約30年半ぶりに3万円の大台を回復した。写真は都内で2020年12月撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 15日 ロイター] - 日経平均株価が約30年半ぶりに3万円の大台を回復した。戦後の日本経済が頂点に達した1980年代後半を知るケイ・アセット代表の平野憲一氏は、今の株高はバブルには程遠いと話す。米市場など最高値を更新する世界の株にけん引されているだけで、かつてのような熱狂はないという。今後は業績期待相場が業績相場に変わるかがポイントだと指摘する。

平野氏は、1970年に立花証券に入社、個人営業や法人営業などを経てマーケットアナリストに就いた。2014年に個人事務所ケイ・アセットを設立。50年以上に渡り、株式市場に携わっている。

──30年前と現在の株式市場の違いは何か。

「30年前は当時在籍していた証券会社で、ちょうど個人営業から金融法人営業に異動したころだ。担当していた銀行には市場営業部があり、多くのファンドマネジャーが何億円という規模で日本株を運用していた」

「今もカネ余りだが、事業会社や金融機関は、カネを借りてまで運用はしていない。余ったお金を運用しているだけだ。当時は借金してでも、値上がりしている株や不動産に投資するという熱狂的な雰囲気があった。バブルを経験した者として感じるのは、今のマーケットの状況は大人しく、バブルとは程遠いということだ」

──個人投資家の動きはどうか。

「個人投資家は、現在も活発に動いているが、30年前と比べるとまだまだという印象だ。当時の証券会社は店頭での対面営業が中心で、来店者が殺到し、入社1─2年目の女性社員のボーナスが、父親のボーナスを超えたと話題になった」

──今の日本株をどう評価するか。

「今の日本の株高は世界の株高に引っ張られたものだ。30年前は、日本はライジングサンと呼ばれ、米国に迫る勢いがあった。世界の時価総額の上位に日本企業の名前が並んだが、今や見る影もない。世界の株価の上昇にともない、ウエートリバランスで買われているだけだ」

──それでも日経平均は3万円を回復した。

「世界の株式市場は日本のはるか先を行っている。30年前の米ダウは2809ドル(1990年8月3日)であり、いまや10倍以上になっている。日経平均は最高値の3万8915円までまだ距離がある水準だ。3万円を回復したからといって喜んでいる場合ではない」

──今の株式市場の特徴は。

「今の相場は需給相場と業績期待相場が同時に走っている特異な相場だ。需給面では、やはりカネ余りであり、マネーストックに示されるように市中に流れるマネーの量が急増している。FRB(米連邦準備理事会)や日銀は、すぐに引き締めに移るようにはみえない。この点からの株高要因はしばらく続くだろう」

「ポイントは企業業績だ。回復はしてきているが、まだコロナ前には届いていない。日経平均の予想1株利益で昨年2月時点で1600円程度だったが、5月に550円付近に下がり、足元では1200円近くまで回復している。これが5月の本決算発表時点でコロナ前の水準まで回復するかどうかが、今後の鍵を握るだろう。業績期待相場が業績相場に変われば、日経平均は3万5000円や4万円が見えてくる」

──兜町の景色も変わった。

「確かに景色は大きく変わった。地場証券が消え、人は少なくなり、マーケット情報が飛び交うような喫茶店もなくなった。しかし、情報はネット上でやりとりされるようになり、街にも再開発の波が訪れている。景色は変わったが、以前とは違う形で再生し始めている」

(聞き手:伊賀大記)

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