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経済活動の再開進み、企業の資金需要徐々に落ち着き=黒田日銀総裁

ロイター / 2021年11月15日 13時32分

 日銀の黒田東彦総裁(写真)は11月15日、名古屋市で開いた金融経済懇談会で挨拶し、新型コロナウイルス感染症による企業の資金繰りへの影響について、売上低迷が続く業種や中小企業に限定されつつあると指摘した。2019年12月撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[名古屋市 15日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は15日、名古屋市での金融経済懇談会で、新型コロナウイルス感染症による企業の資金繰りへの影響について、対面型サービスなど一部の中小企業で厳しさが残っているが、経済活動の再開が進む中で資金需要は徐々に落ち着きつつあると述べた。

景気回復のメカニズムは崩れておらず、来年前半には感染拡大前の2019年の水準を概ね回復できるとの見通しを示した。

日銀は早ければ12月の金融政策決定会合で、来年3月末を期限とする資金繰り支援特別プログラムの延長の有無を決める。

黒田総裁は、企業の資金繰りについて「大企業において借入金を返済する動きがみられるなど、感染拡大直後に急拡大した予備的な流動性需要はかなり落ち着いてきている」とも述べた。ただ、感染症の動向や内外経済への影響は「大きな不確実性が残っている」とし、引き続き感染症の動向を注視して「適切に対応していきたい」と話した。

<高齢者のサービス消費、持ち直しの動き>

黒田総裁は、コロナワクチンの普及と感染者数の大幅減少で、経済活動の正常化に向け「ようやく薄日が差し始めている」と指摘。15日に発表された7―9月期実質国内総生産(GDP)は前期比年率マイナス3.0%となったが、感染が最も拡大して緊急事態宣言が出されていた時期の数字であり、10―12月期以降は徐々に回復していくとの見通しを示した。

「人々の感染症への警戒感が和らいでいけば、サービス消費の回復傾向は明確になっていく可能性が高い」とし、個人消費の4割近くを占める高齢者のサービス消費も9月後半以降、持ち直しの動きがみられると語った。

東南アジアからの部品供給の停滞については、9月以降は東南アジアの感染が落ち着き、数カ月のうちにボトルネックが解消される見込みだとした。

<物価目標達成へ粘り強く金融緩和、来年半ばごろに1%程度>

消費者物価については、携帯通信料やエネルギーなど一時的要因を除けば緩やかにプラス幅を拡大していると指摘。企業・家計の予想物価上昇率は持ち直しに転じ、「感染拡大前の水準を概ね回復している」とした。来年半ば頃には需給ギャップがプラスに転化し、消費者物価は1%程度まで徐々に上昇率を高めていくとの見通しを示した。

黒田総裁は、海外中銀の中に金融緩和の縮小を模索する動きが出ていることにも言及。日本はまだ物価目標に達しない見通しであるため、目標実現に向け現行の長短金利操作付き量的・質的金融緩和の下で強力な金融緩和を粘り強く続けていくと改めて強調した。

<中国恒大問題>

黒田総裁は懇談会で、中国恒大集団の債務問題について「世界の経済や金融に大きなショック与える問題ではなさそうだ」と指摘。中国経済について、従来のような高度成長は見込めなくなるものの、恒大問題で「中国経済がすごく落ちるということにはならないのではないか」と話した。

コロナの感染拡大で金融経済懇談会はオンライン形式で行われてきたが、この日は黒田総裁が名古屋市に出張して対面で開催した。金融経済懇の対面開催は20年2月以来。

(和田崇彦 編集:田中志保、石田仁志)

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