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アングル:ハリス氏、エネ政策は「戦略的あいまいさ」 激戦州の得票にらみ

ロイター / 2024年8月15日 18時20分

米大統領選にハリス副大統領が民主党候補として参戦してから1カ月近く経過したが、エネルギー業界は同氏の政策がどのような形になるかまだ計りかねている。写真はハリス氏。ラスベガスで10日撮影(2024年 ロイター/Kevin Mohatt)

Jarrett Renshaw

[フィラデルフィア 14日 ロイター] - 米大統領選にハリス副大統領が民主党候補として参戦してから1カ月近く経過したが、エネルギー業界は同氏の政策がどのような形になるかまだ計りかねている。

果たしてハリス氏は、カリフォルニア州司法長官時代のように気候変動と環境破壊に積極的に立ち向かうのか、あるいはバイデン政権下で副大統領として米国の石油生産・輸出が過去最大に膨らむのを認めた現実主義を踏襲するのだろうか。

過去1週間に行った演説で、ハリス氏は「気候」に7回言及したが、「エネルギー」や「石油」、「フラッキング」といった言葉は一度も発していない。

各種世論調査からは、特に若い有権者の間で気候変動への取り組みには幅広い支持が集まっていることが分かる。

ただハリス陣営は、環境保護派と化石燃料推進派のどちらの票も失わないことを目指している。複数の側近はその手段として、ハリス氏が賛否の分かれるエネルギー関連問題で「戦略的あいまいさ」を打ち出す方針だと説明する。

陣営が目指すのはミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシンといった大統領選の行方を左右する激戦州で得票数を伸ばすことだ。これらの地域のブルーカラー労働者は、石油採掘や電力、工業などに従事し、しばしば化石燃料生産の最大化と長期継続を掲げる共和党の政策を支持しているという事情がある。

そして共和党候補のトランプ前大統領は、気候変動対策を喫緊の課題とすることに疑問を投じている。

ハリス氏は先週の演説で、トランプ氏が「気候危機に対するわれわれの戦いを全面降伏に導こうとしている」と非難したが、本選まで残された時間が乏しい点から、精緻なエネルギー政策を打ち出す余裕がないのも確かだ。

<バイデン氏の政策踏襲か>

ハリス陣営は、同氏の詳しいエネルギー政策に関して、またこの分野での同氏の過去の言動と現在の姿勢の整合性に関しての具体的な回答は拒否した。ただ、同氏のカリフォルニア州時代、あるいは2019年の大統領選出馬時よりも、バイデン政権の政策により近い方針を採用する意向を示唆している。

バイデン大統領は大手石油会社に対して厳しい態度で臨んだが、化石燃料生産の制限にはほとんど動いていない。実際、米国の石油・天然ガス生産はバイデン政権下で過去最大を記録し、エクソンモービルやシェブロンの利益も過去最大となった。

また欧州諸国と異なり、バイデン氏はロシアのウクライナ侵攻に伴う原油価格高騰によって石油業界が手にした超過利益に「棚ぼた税」を課すこともなかった。

ハリス氏は副大統領として、バイデン氏の気候変動対策の目玉になった「インフレ抑制法」を支持。陣営の広報担当者は「ハリス氏は大統領として、インフレ抑制法と超党派のインフラ整備法の実行細則を完成させる」と述べた。

バイデン氏とハリス氏は、洋上風力発電などの再生可能エネルギーについても連邦所有地のリース入札や補助金を通じて普及拡大を進めてきた。対照的にトランプ氏は、洋上風力発電をはじめとするクリーンエネルギー技術を批判し、常に化石燃料業界への支援を口にしている。

<過去の言動>

ハリス陣営は一つの問題だけは既に立場をはっきりさせている。つまり化学物質を含む高圧水を使用したシェール採掘方法であるフラッキングを連邦所有地で行うことに、もはや反対はしないという点だ。

こうした禁止措置を巡っては複数の州が異を唱え、ルイジアナの連邦地裁は禁止実行の差し止めを命じた。

ハリス氏は19年の大統領選出馬時には、フラッキング禁止を支持し、新規の化石燃料開発プロジェクト全てに反対すると表明していた。

カリフォルニア州司法長官時代は、地下燃料貯蔵施設の環境破壊問題でシェブロンやBPから巨額の和解金支払い同意を取り付けている。

エネルギーコンサルタントの一人は、上院議員だった17─21年のハリス氏について、石油・ガス業界との前向きな関係は築いていなかったと証言し、現在はどういう姿勢なのかまだ明確になっていないとの見方を示した。

激戦州の一つ、ペンシルベニアでハリス氏はあらゆる主要労組の支持を取り付けた。ただ同州は天然ガス産出量が全米2位で、欧州からの液化天然ガス(LNG)需要拡大の波に乗りたいと期待している。

バイデン氏は今年、LNG新規輸出許可を全面的に停止。ハリス陣営は、これを解除して輸出施設整備を促進するつもりかどうか明らかにしていない。

同州のエネルギー業界からは、ハリス氏がもう少しエネルギー政策を明確にしてくれれば、集票活動に役立つのだがとのぼやきも出ている。

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