オープン外債、上期250億円増額 下期は積み増し見送り=富国生命・24年度下期運用計画
ロイター / 2024年10月15日 19時1分
10月15日、富国生命保険は2024年度下期の一般勘定資産運用計画で、為替をヘッジしないオープン外債の残高を維持する方針だ。写真は円紙幣。2011年8月、都内で撮影(2022年 ロイター/Yuriko Nakao)
Hiroko Hamada
[東京 15日 ロイター] - 富国生命保険は2024年度下期の一般勘定資産運用計画で、為替をヘッジしないオープン外債の残高を維持する方針だ。上期は、償還時に大幅な円高となっても十分な収益性が確保できる超長期ソブリン債を中心に250億円増額した。為替が1ドル150円台で金利が高水準だった4月頃に積み増しを行った。一方、米国が利下げ局面に入る中、外債の投資妙味は低下することが見込まれるため、下期は残高を維持する予定。年度計画では350億円増額の予定だったが、10月時点で250億円増額に修正した。
円債については年度計画では450億円の減額を予定していたが、上期に800億円減額した。下期は650億円増額する予定。
財務企画部長の森実潤也氏が15日、ロイターとのインタビューで述べた。
オープン外債については、上期に米債を中心に250億円増額した一方、下期は積み増しを行わない方針を示した。23年度や今年の4月時点で現在よりも高い金利水準で増額していたため、足元では投資妙味が薄れているという。いったん様子見姿勢を維持しつつ、為替リスクを抑えていく考え。
ヘッジ付外債は年度計画通り、上期は残高ゼロを維持。下期も残高ゼロを維持する予定。富国生命は23年度上半期にヘッジ付外債の残高ゼロにして以降、購入を見送っている。
一方、円貨建て公社債残高は、年度計画(4月時点)では450億円の減額を見込んでいたのに対し、上期実績は800億円の圧縮となった。利回りの低い銘柄を売却して、残存期間が長く利回りの高い銘柄に入れ替えるオペレーションを進めた。8月上旬の株価急落時に円金利も低下したことに伴い、売りを先行したが、下期は金利水準を見極めながら買い戻していく予定。
森実氏は「日銀は利上げを行い、緩和度合いを修正することが見込まれるが、20-30年債の利回りが2%台前半まで上昇すれば、キャッシュを取り崩して積み増すことも考えている」と話した。富国生命では、年度内に日銀が1-2回利上げを実施すると予想。日本の10年国債の予想レンジを引き上げ、0.60―1.40%(4月時点は0.50―1.30%)とした。
為替相場については、日米の金融政策の方向性の違いから、緩やかな円高を想定している。ドルは基本的には140―150円でのレンジ推移が続くのではないか、という。
エクイティ資産について、国内株は300億円増額の計画に対して、上期実績は400億円増額と計画を上回った。国内株は高配当株、成長期待の高い銘柄を中心に買い進めた。8月上旬に日経平均は3万1000円台まで急落したが、「ファンダメンタルズが変わらない中で株価が下落したので、良い機会と捉えて買い入れた」と、森実氏は述べた。下期は100億円減らす計画。
外国株は100億円増額の計画に対して、上期実績はゼロ。配当金を享受できる売買を実施し、下半期に100億円積み増す予定。
オルタナティブは200億円増額の計画に対して上期実績は100億円増額。下期は残りの100億円積み増す方針で、収益性が高く、パフォーマンスが市場動向に左右されづらいヘッジファンドなどを積み増す。
不動産は150億円増額の計画に対して、上期は50億円積み増した。下期は残りの100億円を増額する予定。中長期にわたり安定した収益が期待できる物件や不動産ファンドへ投資する。
*24年度下期の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。
日本国債10年物利回り 0.60―1.40%(年度末1.10%)
日本国債20年物利回り 1.40―2.20%(同1.90%)
米10年債利回り 3.20─4.70%(同3.80%)
日経平均 3万1000─4万5000円(同4万円)
米ダウ 3万4000─4万8000ドル(同4万3000ドル)
ドル/円 130―160円(同140円)
ユーロ/円 143―176円(同156円)
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