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アングル:「私たちは餓え死ぬだろう」、イスラエルのUNRWA活動禁止に憤るガザ住民

ロイター / 2024年11月15日 17時19分

 11月12日、 アイシャ・ハレドさんはイスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの侵攻が始まってから1年以上生き延びてきた。写真は4日、ガザ中部ディルアルバラで、UNRWAの支援物資を運ぶパレスチナ人(2024年 ロイター/Ramadan Abed)

Nazih Osseiran

[ベイルート 12日 トムソン・ロイター財団] - アイシャ・ハレドさん(31)はイスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの侵攻が始まってから1年以上生き延びてきた。彼女がいま心配するのは、イスラエルが国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のガザ地区での活動を禁じる法律を制定したことで、来年には命綱である支援が打ち切られ、餓死に追い込まれるのではないか、ということだ。

国際的に広く批判を浴びたこの法律は1月末に施行される。ハレドさんをはじめ、周囲のありとあらゆるものを破壊し尽くされた何万人もの人々にとって、支援の柱が失われることになりかねない。

ガザ中部ヌセイラトにあるUNRWA運営の学校から電話でトムソン・ロイター財団の取材に応じたボランティア教員のハレドさんは、「私自身にせよ、他の100万人の避難民にせよ、支援が途絶えれば万策尽きる。私たちは戦争によってではなく、飢えのために死ぬだろう」と嘆いた。

「この学校が閉鎖されれば、いったいどこに行けばいいのか。生活のすべてをUNRWAに頼っている。小麦粉、それ以外の食料、水、医療、病院、何もかもだ。神様の次に頼りになるのがUNRWAだ」とハレドさんは続けた。

UNRWAはガザで1万3000人を雇用し、同地区で学校や診療所など社会的サービスを運営しつつ、支援物資の配布を行っている。

イスラエルによる攻撃がガザ各地の市街地をがれきだらけの荒野に変えてしまった今、自宅からの避難を強いられた数万人もの人々が、UNRWAの運営する学校などの建物に身を寄せている。

UNRWAが運営する避難所もこの1年の中で何度も爆撃を受け、少なくとも220名のUNRWA職員が殺害された。

UNRWAのガザ地区担当広報官を務めるイナス・ハムダン氏は、先月イスラエルが可決した法律がそのまま施行されれば、「最悪の結果」が生じるだろうと語った。

「ガザでは200万人の住民が、食糧支援や一次医療などの面でUNRWAを頼りに命をつないでいる」とハムダン氏は言う。

UNRWAの活動を禁止する法律は、イスラエルが占領するヨルダン川西岸、ガザ、そして東エルサレムのパレスチナ人居住区に適用される。1967年の「6日間戦争」を経てイスラエルが占領した地域だ。

問題の法律を起案したイスラエルの議員たちは、UNRWAの数千人の職員の中に戦争の発端となった昨年のイスラエル南部への攻撃に関与した者が少数いたことを根拠として挙げ、職員の一部はハマスその他の武装勢力の構成員だと主張している。

<脆弱なライフライン>

今回の戦争が始まったのは2023年10月7日だった。この日、ハマスの戦闘員がイスラエルに大規模襲撃を行い、イスラエル側の集計によれば約1200名を殺害、これとは別に253名の人質をとった。

イスラエルの報復攻撃によりガザの大半は完全に破壊され、ガザ医療当局によれば約4万3500人のパレスチナ住民が殺害された。ガザの救急当局では、がれきの下に埋もれて集計されていない死者が最大1万人いると考えられるとしている。

230万人のガザ住民の大半は、戦闘と破壊のために自宅からの避難を強いられている。

イスラエルは数十年にわたり、同国内とヨルダン川西岸、ガザにおけるUNRWAの保護、移動、外交特権に関する合意を同機関と結んでいたが、今回の活動禁止法により、この合意に終止符が打たれる。

多くのパレスチナ人にとってUNRWAによる支援は唯一のライフラインだが、それも今や風前の灯火だ。

食料安全保障の専門家による委員会は先週、ガザ北部で飢餓が差し迫っている可能性が高いと警告した。この地域では先月からイスラエルが攻撃を再開している。

イスラエルはこの警告を、「不完全で偏ったデータ」に基づくものだとして否定している。

パレスチナ市民への対応を統括するイスラエル占領地政府活動調整官組織(COGAT)は先週、ガザにおける「人道主義に基づく取り組みの実施の支援」を継続していると述べた。

だが国連のデータを見ると、ガザに搬入された支援物資の量は過去1年で最低水準に急減しており、国連は特にガザ北部への支援物資の搬入を妨害・阻止しようと試みているとしてイスラエルを非難している。

「イスラエル当局がガザ入域を許可した人道支援物資輸送トラックは、1日平均30台にすぎない」とハムダン氏は述べ、この数字は開戦前にガザ搬入を認められていた量の6%にすぎないと説明した。

「もっと多くの支援をガザに届けなければならず、支援物資のガザ搬入を管理するためにUNRWAの活動を促進すべきだ」とハムダン氏は言う。

<支援体制の「大黒柱」>

UNRWA以外の支援組織の多くも、物資搬入についてはUNRWAに頼っており、国連当局者は、UNRWAはガザにおける人道支援対応の大黒柱だと語る。

非政府組織(NGO)オックスファム英国支部で人道支援部門を指揮するマグナス・コーフィクセン氏は、「他の人道支援活動関係者も同じだと思うが、私たちの見解としては、(どこかがUNRWAの代わりを務めるというのは)不可能な話だ」と語った。

「UNRWAが活動を続けられるようにすることが優先課題だ。UNRWAの存在は私たちにとっても不可欠だから」と、同氏は言う。

コーフィクセン氏によれば、UNRWAは他の人道団体を物流面で支援しており、人員の移動や海水淡水化プラントの運転に必要な燃料の調達を支えている。

「UNRWAがいなければ、倉庫や燃料、トラックの確保にも苦労するし、移動したり調整したりすることも難しくなる」と、コーフィクセン氏は強調した。

UNRWAが運営する学校は、すべてを失いトラウマを負った子どもたちにとって、数少ない憩いの場にもなっている。

ラマル・ユーニス・アブ・ズライドさん(12)は、昨年の戦争が勃発した時にガザ中部マガジの自宅から避難した。

ラマルさんが生徒として通っていたUNRWAの学校は避難所となった。彼女自身も、ヌセイラトにある別の学校施設を利用した避難所で1年間暮らしている。

戦闘の渦中にあっても、ラマルさんはUNRWAの避難所で、開戦前に好きだったことをある程度は楽しんでいる。

友人に会い、授業を受け、絵画や工芸に励み、合唱のセッションにも参加できる。現在の状況に適応するためのメンタルヘルス支援のセッションのように、不慣れで気が進まないが必要な活動もある。

ラマルさんにも、自分を支えているライフラインが脆弱であることは分かる。学用品も乏しくなっており、1冊の書き取り帳を友人と使い回ししている。

「以前なら本もペンももらえたけど、今はそういうものも手に入らない」と、ラマルさんは話した。

(翻訳:エァクレーレン)

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